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Dynamoで開発した機能のRevit APIへの移行により、運用の効率化と大幅なコスト削減に貢献
建設業界におけるDX推進の一環として、多くの企業がビジュアルプログラミングツール「Dynamo(ダイナモ)」を活用した業務効率化に取り組んでいます。
Dynamoを積極的に活用していた建設会社のお客様では、現場主導でDynamoによって開発された機能数が増えるにつれて、バージョンアップに伴うメンテナンス負荷や、開発者しか扱えない属人化が深刻な経営課題となっていました。
そうしたなか、豊富なBIMソフト開発の実績をもつSHIFT ASIAにご相談をいただきました。
当社では、Dynamoで作成された既存のプログラムを解析し、より汎用性が高く管理負担の少ないRevit APIをベースとしたフローへの移行プロジェクトを担当。既存環境を維持しながらスムーズに移行を進め、運用の効率化と保守運用や管理コストの大幅な削減を実現しました。
お客様の課題
同社では、Dynamoの活用が進む中で稼働する機能数は200を超え、運用フェーズにおいて以下のような課題が浮き彫りになっていました。
・バージョンアップ対応とエラー対応の限界
お客様の環境では、DynamoやRevitのバージョンアップのたびに多数のプログラムが動作しなくなる不具合が頻発していました。200を超える機能の動作確認と修正には膨大な工数を要し、保守運用コストが肥大化していました。
・汎用性の欠如と機能のサイロ化
Dynamoで開発された多くの機能が、特定のプロジェクトや個別の担当者のニーズに合わせて作られていたため、他のプロジェクトでの再利用が困難でした。似たような機能をプロジェクトごとに都度開発するという非効率も発生しており、全社的な業務効率化の足かせとなっていました。
・開発体制の属人化と人材不足
Dynamoのメンテナンスは、開発した本人や特定の社内技術者に依存していました。しかし、Dynamoに精通した技術者の退職や異動により、ブラックボックス化した機能が増加。修正や改善が不可能な状態に陥るリスクが高まっていました。
お客様の要件
お客様は、徐々に限界を迎えつつあったDynamo依存から脱却し、より安定的かつ組織的に活用できるシステム環境への移行を求めていました。 具体的には、以下の要件を満たすRevit APIへの移行および開発体制の刷新が必要とされていました。
・保守コストの削減と安定稼働
Revit APIへの移行により、バージョンアップ時の影響を最小限に抑え、エラーの少ない堅牢なシステムを構築すること。
・機能の汎用化と標準化
プロジェクト固有の仕様で開発されたDynamoプログラムを解析・整理し、どのプロジェクトでも利用可能な汎用的な機能として再設計・統合すること。
・移行期間中の業務継続性
一気にシステムを切り替えるのではなく、既存のDynamo環境と新しいAPI環境を並行稼働させながら、現場業務を止めることなくスムーズに移行を進めること。
SHIFT ASIAの対応と成果
当社は、DynamoとRevit API双方に精通したエンジニアチームを編成し、ブラックボックス化していた既存資産の解析から移行までをワンストップで支援しました。単なるプログラムの書き換えにとどまらず、業務フローの最適化を見据えたソリューションを提供しました。
1. Dynamo依存の脱却と保守性の向上
まず、200以上に及ぶ既存のDynamoプログラムを詳細に解析し、「廃棄」「統合」「API化」の仕分けを実施しました。 Revit APIを用いてプログラムを再構築することで、処理速度の向上と動作の安定性を実現。バージョンアップに伴うメンテナンス工数を劇的に削減し、管理負担を大幅に軽減しました。
2. 自社独自機能の汎用化・機能拡張
特定プロジェクト専用だった機能を、汎用的なRevitアドインとして再設計しました。 BIM開発における当社の知見を活かし、ユーザーインターフェースを統一することで、操作性を向上。これにより、Dynamoの知識がない設計者や施工担当者でも直感的にツールを利用できるようになり、組織全体での活用が進みました。
3. スムーズな移行と属人性の排除
移行期間中は、Dynamoと新システムが共存できる環境を維持し、現場の混乱を回避する手厚いサポートを提供しました。 また、開発言語を標準的なプログラミング言語ベースに移行したことで、特定の個人のスキルに依存しない開発体制を確立。ドキュメント整備やソースコード管理も徹底し、持続可能な開発・運用フローを構築しました。
本プロジェクトにより、負荷の高かったDynamoを中心とした運用から、Revitアドイン環境へのスムーズな移行が進みました。API化によってバージョンアップに伴う修正作業が激減し、保守運用コストならびに関連部門の負担が大幅に軽減。また、ツールが汎用化され全社で利用可能になったことで、特定プロジェクトに限らず組織全体の生産性が向上し、業務効率の最大化を実現しています。
さらに、属人性が排除されたことで、担当者の変更や退職に左右されない長期的なシステム運用が可能となり、企業としての安定性の強化にも大きく貢献しました。
使用ツール・技術・言語など
- Revit(レビット)(Autodesk社が開発・提供するBIMソフト)
- Dynamo(ダイナモ)(RevitなどのAutodesk社の製品に標準搭載されたビジュアルプログラミングツール)
ソリューションサマリ
- BIM開発
- アジャイル開発
- ソフトウェアテスト/第三者検証
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