はじめに
今や業界や規模を問わず、民間企業から政府や自治体といったあらゆる組織が、IT業務のアウトソースを利用しています。
適切に外部のリソースを活用することは、ITがあらゆる組織活動の根幹となっている現代において、その真にコアとなる業務に貴重なリソースを配分し組織の健全な運用と成長を続けるためにますます重要なこととなってくるでしょう。
一口にIT業務のアウトソースといってもIT業務自体が多岐にわたる昨今において、その選択肢や方法は同様に非常に多岐にわたります。
作業的な部分を外注するBPO(Business Process Outsourcing)といったものから、本格的な開発やテストの外注まで、様々な種類や範囲の内容がその対象となりえます。
また外注先としては、日本国内でもいわゆる総合的なSIerから特定領域に特化した中小規模のベンダーや、エリアという切り口では近年ではニアショアという選択肢も出てきています。
さらに弊社のようなアジア地域を中心としたオフショアや、東欧諸国などの活用事例も増加傾向にあります。
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そういった中で、こちらの記事ではソフトウェア開発におけるアウトソーシングにフォーカスし、特にベトナムにおけるオフショア開発を活用するメリットとデメリット・リスクについて紹介いたします。
ベトナムにおけるオフショア開発のメリット・デメリット・リスク
オフショア開発というと、一般的に「安価」というコストメリットをイメージされる方が多いかと思いますが、近年ではその様相に変化がみられています。
様々な要因がありますが、一例としてベトナム国内の経済成長や、日本をはじめとするグローバルでのIT人材に対する需給バランスの変動などにより、コストメリットは以前に比べ相対的に縮小傾向にあります。
近年ではむしろ、ITに関連するマーケットの拡大とIT人材の不足によって、人的リソース面でのメリットに対する注目が高まっています。
参照:2023年版『オフショア開発白書』ユーザー企業実態調査にみる、オフショア開発の最新動向
一方で、オフショア開発の活用には主に文化的・地理的な隔たりに起因するコミュニケーション等における課題やリスクが存在していることは無視できません。
ゆえにメリットだけでなく、デメリットやリスクも含めて認識をしたうえで、適切に対応をすることではじめてそのメリットを十二分に活かした運用が実現できると考えます。
こちらの記事がベトナムでのオフショア開発におけるメリット・デメリット・リスクに対する理解を深める一助となり、最適なソリューションの検討に役立てていただけますと幸いです。
メリット1:豊富かつ優秀なエンジニアリソース
ベトナムでは国策として高度IT人材の輩出を掲げており、優秀な理系大学出身のIT人材が安定的に市場に供給されています。
その数は年々増加を続けており、毎年5万人から5.7万人の学生がITを専攻し、2023年には国内のIT人材数が約53万人に達すると言われています。
参照:【2023年版】ベトナムオフショア開発の最新動向②:ベトナム人IT人材の人数や需給、IT専攻学生の人数について
またベトナムではITエンジニアはいわゆる花形の職業の一つと認識されており、その高い給与・人気から優秀な人材がこぞってIT業界を目指すという背景があります。
元々向上心が強く、まじめで勤勉な国民性もあいまって、ベトナムのITリソース及びその技術力は急速にプレゼンスを高めています。
一方日本に目を向けると、周知のとおり労働人口自体が減少傾向にあり、特に高度IT人材の確保が年々難しくなっている状況です。
経済産業省によれば、2030年には約16万人から79万人ものIT人材が不足すると見られています。
こうした状況から、優秀なエンジニアを豊富に確保できるということは、日本の組織にとって非常に大きなメリットといえるでしょう。
特に大規模プロジェクトにおいては、日本国内では受託先が限られる一方で、ベトナムでは豊富なITリソースを背景に比較的受け入れやすい環境にあります。
管理面での難しさといった課題はあるものの、大規模プロジェクトの場合は主なメリットの1つであるコストメリットも非常に大きくなることから、検討の価値は非常に高いと思われます。
メリット2:優れたコストパフォーマンス
急速な経済成長を遂げているベトナムですが、依然として日本国内に比べると大幅なコストメリットを享受できる環境にあります。
具体的な単価についてはオフショア開発企業によっても差が出てきており、二極化が進みつつありますが、概ね日本の1/3から1/2程度の単価が相場となっています。
ベトナム人ITエンジニアの単価は?主要オフショア開発国の単価と比較
また単価と同様に、オフショア開発企業によって品質にも大きなばらつきが見られるようになってきていますが、メリット1でもご紹介した通り全体的な水準として開発力は年々上昇傾向にあります。
ゆえに、単価をある程度抑えつつスキルの高いエンジニアを活用した開発環境が構築しやすいという、優れたコストパフォーマンスを期待することが可能です。
しかしながら、中長期的にはこのコストメリットは縮小していく可能性が非常に高いことから、価格だけに着目してベトナムでのオフショア開発を検討するのはリスクがあるかもしれません。
メリット3:ベトナムの高い市場性
ベトナムは、近年5~7%といった高水準の経済成長を続けており、中間層や富裕層の所得・数ともに増大しています。
そしてそれに伴う内需の拡大や個々人の消費活動にも大きな変化が生じるなかで、日本をはじめとする海外企業のベトナムマーケットへの参入が増加しています。
今後日本企業がサービスを拡大する上で、日本市場に加えグローバル市場での展開が一つのポイントとなってきていることから、成長性の十分なベトナムは日本企業にとっても1つの有力な市場となってくるでしょう。
そうしたなかで、ベトナム市場への展開を視野に入れつつベトナム国内の企業を活用してオフショア開発を行うことは、二重のメリットを期待することができます。
ベトナムは親日国であることに加え、日本=高品質という「日本ブランド」も根強く存在していることから、市場性といった観点でも検討してみてはいかがでしょうか。
ベトナムオフショア開発のデメリット・リスク
一方で、ベトナムでのオフショア開発においては言語や文化、商習慣、地理的なギャップ等に起因して、以下のようなデメリットやリスクが存在するといわれています。
- 言語や文化の壁による、コミュニケーションの難しさ
- 上記に起因して、認識のズレが起こりやすい
- 認識のズレや品質に関する考えの違いから、求めている品質レベルとの乖離が生じやすい
- 管理含め、コミュニケーションコストが高くつきがち
- 日本に比べ定着率が低い傾向にあり、ノウハウが溜まりにくい
- 文化的・地理的な隔たりによる管理の難しさ
- コンプライアンス、セキュリティ意識が低くなりがち など
上記の内容は一例ですが、おそらくこれらはオフショア開発を検討される企業さまの主な懸念であり、またオフショア開発を活用される企業さまや私たちのようなオフショア開発を提供する側の企業にとっての典型的な課題といえる内容ではないでしょうか。
SHIFT ASIAでは、上で挙げたようなデメリット・リスクを課題として認識したうえで、それらに対応するための仕組みづくりを文化形成まで含めて進めています。
オフショア開発の課題に対する「オフショアテスト」というソリューション
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本記事がベトナムにおけるオフショア開発の情報収集や検討を進めるうえで少しでも参考になれば幸いです。
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