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仕様書がなくても問題なくソフトウェアテストを実施。不具合を発見、修正した結果、アプリストアの評価が1点台から平均4.6点に
会社名 | 株式会社物語コーポレーション |
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事業内容 | 外食事業の運営及びフランチャイズチェーン展開 |
企業規模 | 1,000名以上 |
導入サービス |
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焼肉チェーン「焼肉きんぐ」をはじめ、お好み焼やラーメンなど、さまざま業態の飲食店を展開する株式会社物語コーポレーション。
同社では既存顧客の囲い込み施策に力を入れており、その一環として2023年6月現在9つものブランドで飲食店公式アプリを提供しています。その一方、アプリリリースのスピードと開発コストを優先していたために多くの不具合が報告されており、アプリストアの低評価に悩んでいたそうです。そこで今回、弊社のオフショアテストをご活用いただき、既存の飲食店公式アプリを含めた不具合を検出し、その結果アプリの品質向上を実現しました。
今回の取り組みの背景にあった課題やオフショアテストを活用することのメリット、そして取り組みによって得られた成果について、同社デジタルマーケティング部のご担当者さまにお話を伺いました。
「焼肉きんぐ」をはじめ、多数のブランドを展開する物語コーポレーションが、9つもの飲食店公式アプリを提供する理由とは
ー 貴社ではどのような目的から飲食店公式アプリを運営されているのでしょうか?
村松様 私たち物語コーポレーションが経営する飲食店ブランドの価値を高めるため、お客さまに新鮮な情報をお届けし、リピーターを増やしていくこと、そして最終的には売り上げ向上に貢献することを目的としています。また、データ活用の観点では、アプリから得られるビッグデータをもとに販促施策の企画に役立てることも重要なポイントです。
ー 貴社の飲食店公式アプリの運営には、どのような特徴があるのでしょうか?
村松様 私は長年、大手飲食チェーンや広告代理店のマーケターとして活動してきましたが、9つものブランドでそれぞれアプリを開発、運営している例はいままで聞いたことがありません。実際に2023年10月から現在までのたった約8ヶ月の間に4つもアプリをリリースしており、なかには1店舗しか出店していない段階からアプリをリリースしたブランドもあります。
この背景には、定期的にテレビCMに出稿して新規のお客さまを大量に獲得するよりも、お客さまに美味しい食事で笑顔で元気になってもらい、また次回来店していただきたいという思いがあります。そのための施策のひとつが飲食店公式アプリの提供であり、開発や運営コストの採算は長期的な視点から考慮されています。
川畑様 飲食店公式アプリのリリース、機能アップデートにあたっては、スピード感が重要だと考えています。弊社のビジョンである「とびっきりの笑顔と心からの元気」をアプリでも実現するためには、アプリを使うたびに目新しい機能や情報でお客さまに喜んでいただくことが重要です。
特に飲食店公式アプリでお客さまが重視する機能が、クーポン機能ですね。スタンプを集めることでクーポンが発行されるといった、お客さまに楽しんでいただけるような仕掛けになっています。また、来店予約ができるブランドに関しては、アプリ内から手軽に予約できる機能も実装されています。
スピードとコストを優先して開発が進んだために仕様書がないアプリもあり、不具合の頻発でアプリストアには平均1点台の低評価が
ー 飲食店公式アプリのソフトウェアテストでは、どのような点を重視していますか?
川畑様 新しい機能の実装で、以前の機能にバグが発生することは珍しいことではありません。だからこそ、弊社ではアプリの品質を維持していくため、新しい機能をアプリに実装したら必ずソフトウェアテストを実施し、その結果を受けて以前の機能をアップデートするようにしています。
また、弊社では他社と比べても多くの飲食店公式アプリをリリースしていることもあり、アプリには共通のフレームワークを使用しています。これによって、もしひとつのアプリのソフトウェアテストで不具合が見つかっても、他のアプリの改修に応用できるのです。
ー 今回の取り組み以前に他社のオフショアテストを実施された際には、どのような印象を持たれましたか?
村松様 正直なところ、良い印象は持ちませんでした……。確かに、国内の開発会社さんによるソフトウェアテストと比べれば費用を抑えられるのですが、時差の関係ですぐにご対応いただくことができなかったり、求められているクオリティに達していなかったりと、さまざまな課題が残る結果だったのです。特にテストのクオリティについては、委託先が独自のフォーマットを使用していたからか、シナリオの設計と実行が甘く、不具合を探し切ることができていませんでした。
ー 今回の取り組みのきっかけには、どのような課題やお悩みがあったのでしょうか?
村松様 私と川畑が入社する以前にはすでに5つの飲食店公式アプリがリリースされていたのですが、開発コストを抑えることと開発スケジュールを短くすることを優先していた結果、アプリに関する仕様書が存在していなかったのです。仕様書がない状態でソフトウェアテストを設計、実行するのは非常に難しく、通常であればソフトウェアテスト自体が不可能なレベルです。実際に知り合いの開発会社の方々にも相談してみたのですが、皆さん一様に「あまりやりたくない……」と仰っていましたね。
川畑様 アプリにおけるソフトウェアテストとは「アプリ上の機能が仕様書通りに正しく動いているか、いないのか」を一つひとつ確認していく作業のことです。仕様書はアプリにおけるルールですので、しっかりした仕様書があれば誰がテストのシナリオ設計をしたとしても、だいたい同じようなテスト項目になります。この仕様書がない状況というのはつまり、機能の動作が正しいか、正しくないのかの判断基準が存在しない状態でテストを実施しなければならないということなのです。
村松様 一番深刻だった課題は、アプリストアの評価が低かったことです。開発コストを抑え、短いスケジュールで開発されたアプリだったことに加え、充分なソフトウェアテストも実施されていなかったため、エラーが頻発してアプリの動作がよく止まっていました。そうした不具合を報告するコメントが多数書き込まれていたため、ストアの平均評価は1点台でした。
こうした課題を解決するため、新しいアプリのリリースと新機能の実装にあわせて新たにソフトウェアテストを実施することになったのです。
オフショアテストのメリットはコストを抑えられること。国内相場の70%ほどで、テスト品質にも満足
ー 弊社のソフトウェアテストを選定いただいたきっかけをお聞かせください。
川畑様 もともと弊社とSHIFT ASIAさんでは過去に別案件でお取引きがあったため、トライアルを兼ねて一度ご依頼させていただき、そこで判断しようと考えていました。ちょうど同じタイミングで「焼肉きんぐ」のアプリに予約システムが実装されたため、そのソフトウェアテストをご依頼することになったのです。当初アサインいただいたPMは日本の方ではなく、また私は英語があまり得意ではなかったために意思疎通の面で課題が残る結果となりました。
ただ、テスト自体の品質は問題なく、次回以降は日本人のPMの方に変更いただけるとのことで引き続きソフトウェアテストをお願いすることになりました。
村松様 2023年10月には新しいブランド「焼きたてのかるび」の飲食店公式アプリをリリースする運びとなったため、引き続きソフトウェアテストをSHIFT ASIAさんにご依頼しました。
ー どのような要素を評価いただき、弊社にソフトウェアテストをご依頼いただいたのでしょうか?
村松様 重要な要素だったのはコストです。ソフトウェアテストはアプリをリリースする上で必須ではありますが、売上げには直接つながらない施策のため、テストの目的をしっかり説明したとしてもテストのための予算確保はなかなか大変だという事情があります。
私は前職でもオフショアテストを実施した経験もあり、テスト費用の相場感は理解していたのですが、SHIFT ASIAさんからご提示いただいた見積もり金額は他社の70%ほどでした。以前の取り組みでもテストクオリティには問題がなかったことは確認が取れていたので、社内の決裁もスムーズでした。
タイトなスケジュールでも柔軟に対応。アプリの仕様書がない状態でも、SHIFTグループのナレッジを活用しシナリオテストを設計、実行
ー オフショアテストの取り組み全体のスケジュールを教えてください。
村松様 今回の取り組みでは、2023年10月以降にリリースされた4つの飲食店公式アプリのソフトウェアテストを実施していただきました。具体的には、2023年の10月と12月、2024年の3月と4月と、およそ8ヶ月の間に4つもリリースしているため、かなりタイトなスケジュールのご相談だったと思います。
ソフトウェアテストのご相談は、弊社が希望する実施期間のおよそ1〜2ヶ月前にご相談させていただきました。たった1ヶ月の準備期間でソフトウェアテストを実行いただいたこともあり、これは他社では間に合わないこともあるスケジュールです。
特に2024年の3月と4月リリース予定だった新規アプリのソフトウェアテストを立て続けにご依頼させていただきましたが、これも他社のオフショアでは断られても不思議ではないスケジュールでした。SHIFT ASIAさんには、タイトで難しいスケジュールのご相談にも関わらず柔軟にご対応いただき、感謝しています。
ー ソフトウェアテストの取り組みはどのように進行しましたか?
川畑様 主に2名のテスターさんと日本人のPMの方にソフトウェアテストを実行いただく体制をご用意いただきました。
日々のコミュニケーションにはプロジェクト管理ツールを利用しており、そこで細かいやり取りや、タスクと進捗の管理を行なっています。また、PMの方が私とテスターさんの間にしっかり入っていただけたことで、とてもスムーズかつ迅速でストレスはありませんでした。
案件初期の段階は主にPMの方に進行いただき、そこからテスターさんへの指示が飛び、テスト実施後にテスターさんから報告が上がってくる、という流れです。その後、テストで指摘があったバグを私が確認し、アプリの開発会社さんに取り次いで修正いただきました。
村松様 アプリの仕様書が存在せず、本番環境しかなかったにも関わらずシナリオテストを設計、実施いただけたのは嬉しかったですね。これはソフトウェアの品質保証や第三者検証に取り組まれてきたSHIFTグループとして蓄積されてきたナレッジのおかげだと思います。
テスト回数を重ね、初回テスト時に検出される不具合件数が半分以下に減少。さらにアプリストアでは平均4.6の高評価を獲得し、クレームは0件に
ー オフショアテストの取り組みでどのような成果が得られましたか?
村松様 初期は想定よりも不具合の検出が多かったのですが、テスト回数を重ねるごとに検出数が下がっていったため、テスターの方には見逃しなくしっかりテストしていただけている実感があります。検出いただいた不具合は開発側へフィードバックされ、その次にリリースされる予定の飲食店公式アプリの開発にも反映されています。そのため、直近でリリースされたアプリでは、初回のソフトウェアテストの段階で検出される不具合の数が半分以上まで減りました。
また、不具合の検出で一番驚いたのは、新しくリリースされたアプリのソフトウェアテストによって、今回の取り組み以前にリリースされていた過去のアプリのバグも発見いただいたことです。過去にリリースされていた5つのアプリと、今回新しくリリースされた4つアプリは共通のプラットフォームを使用しているため、不具合も一部が共通していたのです。
ソフトウェアテスト対象のアプリだけでなく、本来対象外であるはずの過去のアプリの不具合までご指摘いただき、テスト効果が波及してアプリ全体を改善できたのはとても大きな成果だと思っています。私の頭の中の「ソフトウェアテスト」のイメージが変わったと言っても過言ではありません。しかも、テストにかかるコストは想定していた相場感の70%ほどなので、非常に満足しています。
川畑様 新しくリリースされたアプリの不具合が減ったことはもちろん、既存アプリの不具合を検出いただき、改善できたことでアプリストアの評価が上がってきました。たとえば「焼肉きんぐ公式アプリ」は以前、動作の不具合を指摘するコメントばかりで平均評価が1〜2️だったのですが、今では2.7万件もの評価が集まりつつ、平均が4.6と高評価をいただいています。(2024年6月現在)
「飲食店公式アプリ」のジャンル内でも以前はランキング圏外でしたが、今では世界的な飲食店チェーンが提供している公式アプリとランキング上位を争うまでに成長しました。さらに、アプリの不具合に関するお叱りの問い合わせも、以前は多いときで1日10件ほど届いていたものが今では0件です。
ー 弊社のソフトウェアテストについて、どの要素を評価いただいていますか?
川畑様 プロジェクト管理ツール上のやり取りで、テスターさんとやり取りする中で、レベルの高さを感じました。こちらからの連絡に対して迅速にご対応いただいており、検出された不具合の報告も分かりやすく的確なものでした。また、テストの設計書も見やすく、ソフトウェアテストの回数を重ねるにつれて精度が高くなっています。「以前にテストしたはずだけど、また不具合が出ている」というミスも、もちろん起きていません。
重要なのはお客さまに近い視点。ソフトウェアテストはアプリ開発に関わっていない第三者が実施すべき
ー 貴社事業の展望をお聞かせください。
村松様 「とびっきりの笑顔と心からの元気をお客さまに届けたい」というミッションのもと、新業態や新ブランド、新規事業の展開に今後も挑戦していきたいと考えています。こうした挑戦の一環として、飲食店公式アプリへの先行投資も継続していき、飲食店公式アプリの会員DBを構築し、データ活用にもより一層力を入れていきたいですね。
こうした新しい飲食店公式アプリのリリースや会員DBの構築にもソフトウェアテストは欠かせない取組みだと考えていますので、SHIFT ASIAさんには今後もお力添えいただけると嬉しいですね。
川畑様 経営層からは、新しい飲食店公式アプリのリリースだけでなく、既存アプリの機能改修の要望を多数受けています。新しい機能を追加しながらもアプリの品質を担保し、快適なアプリ体験をお客さまに提供していきたいですね。
ー ソフトウェアテストを検討している方に向けて、アドバイスをお願いします。
村松様 アプリの開発会社さんでもソフトウェアテストのサービスを提供しているケースは珍しくなく、アプリ開発からソフトウェアテストまでを一気通貫でご依頼できることもあります。一見すると、たしかに手続きやコミュニケーションコストも抑えられるので便利なのですが、やはりソフトウェアテストはアプリ開発に関わっていない第三者が実施すべきです。
実際のお客さまのように、アプリ開発の背景を知らないテスターがソフトウェアテストを実施することで、本来のお客さまにより近い視点から不具合を検出できると考えています。
川畑様 飲食店公式アプリは公開するだけでも大きなコストがかかるため、ソフトウェアテストはどうしても後回しにされがちです。しかし、SHIFT ASIAさんのようなオフショアテストを活用することで、費用を抑えつつも高品質なテストを実施できます。すでにアプリをリリースしている企業も、これからアプリをリリースする予定の企業も、まずはぜひご相談してみてはいかがでしょうか。
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