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エコシステムとは:デジタル時代に欠かせない協業の形 ビジネス・ITトレンド

更新日:2022/10/20 SAブログ編集部

エコシステムとは:デジタル時代に欠かせない協業の形

はじめに

IT業界では昨今、エコシステムという言葉を耳にしない日はないと言っても過言ではありません。エコシステムは既にIT業界ではすっかり定着した感がある一方、他の業界ではまだまだ馴染みが薄い用語とも言えます。そこで今回はエコシステムの意味や価値についておさらいしながら、ビジネスのトレンドがどのように変化しつつあるのかを解説していきたいと思います。

エコシステムとは

エコシステムとは本来、自然界の生態系を意味する用語です。自然界で多様な生物がうまく共存しているように、業種や強みなどがそれぞれ異なる企業が連携することで共存共栄を目指す取り組みとして近年、ビジネス界で注目を集めています。なお、自然界のエコシステムと区別するため、「ビジネスエコシステム」と呼ばれることもありますが、意味は同じです。

エコシステムは1990 年代に「共に成長する企業群」という意味で米国のコンピューター産業で使われ始めたと言われています。当時、パソコンを製造していたIBMがマイクロソフトのWindows OSやインテルのCPUを採用したことで、各社が共存共栄する仕組みが生まれ、市場全体が大きく成長したことはよく知られています。

ただ、当時はサプライチェーンを構成する企業群という意味合いが強かったものの、現在ではエコシステムは「プラットフォーマー」と呼ばれるプラットフォームを提供する企業が築く経済システム(経済圏)を指すことも増えてきています。

代表例はAppleやクラウドサービス事業者など

具体例を挙げれば、Appleが構築したエコシステムはApple本体の収益のみならず、iPhoneなどの部品を提供するサプライヤー、App Storeを通じてさまざまなアプリを販売する開発者、音楽などのコンテンツを制作するクリエイターなど、さまざまな人々に恩恵をもたらし、共存共栄を実現したエコシステムの好例と言えるでしょう。

このほか、AWS(Amazon Web Services)やGCP (Google Cloud Platform)などの大手パブリッククラウドサービス事業者もクラウドサービスを提供するプラットフォーマーとして、自社のクラウドサービスに特化した開発会社やSaaS、PaaSなどを提供する事業者などから構成される強力なパートナーエコシステムを築いています。これによりAmazonやGoogleは、自社単独ではカバーしきれないユーザーに対し、パートナー企業を通じて導入支援やコンサルティングを提供できるほか、自社サービスを他社サービスと連携させることで新たなユーザーを獲得できるメリットがあります。

また、パートナー企業にとっても例えばシステム開発会社であれば、AmazonやGoogleからパートナー認定や表彰を受けることにより導入実績を顧客にアピールすることができます。このように多くのエコシステムにおいては、プラットフォーマーとパートナー企業の双方が共存共栄できる仕組みが整備されています。

エコシステムが広がる背景とその価値

では、次にこうしたエコシステムが広がってきた背景について考えてみましょう。エコシステムは特にIT業界で盛んに導入されている取り組みですが、導入が加速している大きな要因として近年のビジネス環境が従来とは比べられないほど複雑化してきたことが挙げられます。

現代はテクノロジーの進歩などにより、ひとつの製品やサービスの寿命がますます短くなっているほか、導入されるテクノロジー自体の移り変わりも激しい時代です。このため、製品・サービスの開発から提供までを1社単独で行うことのリスクがますます増大しています。また、事業におけるスピードが重要視される中、独自技術を活かし、時間をかけて極力自社で開発を内製化したとしても、仮にリリースタイミングが他社よりも周回遅れになってしまえば、投資の回収すらおぼつかないことにもなりかねません。

逆に言えば、エコシステムというのは他社と連携することでこれらのリスクを回避し、持続可能な成長を実現する仕組みとも捉えることができます。一方、競合他社と競争すると同時に協働も進めていくというバランス感覚が求められるわけですが、そもそもエコシステムがもたらす価値とは何なのでしょうか。

エコシステムの構築に不可欠な API

まずエコシステムを語る上では、技術開発におけるオープン化の流れを押さえておく必要があります。オープン化とは1990年代以降に情報システムやソフトウェアの領域で広がった概念で、特定の企業などが開発した独自仕様のシステムを標準規格に置き換えたり、外部に仕様や接続方法を公開したりする取り組みです。そうした取り組みが進展する中、API(Application Programming Interface、アプリケーション・プログラミング・インターフェース)と呼ばれる仕組みが発展を遂げてきました。

APIとは異なるソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐインターフェースを指しますが、エコシステムにおいてはプラットフォームを提供する企業などがAPIを公開することにより、さまざまな業界の企業が独自のサービスを開発し、イノベーションを促進する動きが加速しています。

APIを活用し、さまざまなサービスが花開いた代表例としては、オンラインの地図サービスで今や世界標準になっているGoogleマップが挙げられます。ご存じのとおりGoogleマップではGoogleが公開したAPIを活用し、配車やフードデリバリー、賃貸情報などを地図上に表示した新しいサービスが続々と誕生しています。このようにAPIがさまざまな企業をつなぐことで、新たなサービスが生まれ、関連ビジネスの規模や領域が広がっていく流れは「APIエコノミー」としても注目を集めています。

参入企業にとっては自社単独では入手できなかったデータや機能に簡単にアクセスし、迅速にサービスを開発できるメリットがあるほか、参入企業や関連サービスを利用するユーザーが増えれば増えるほど多様なユーザーデータが集まり、新たなイノベーションの源泉になるという好循環をもたらしています。このAPIエコノミーの価値を一言で表せば、企業が外部と連携することでより迅速にイノベーションの創出を促進できることにあり、多くのエコシステムにおいてAPI は非常に重要な役割を提供しています。

API
API

多様なプレーヤーが集まることでイノベーションを促進

このように多くのエコシステムにはAPIのようにイノベーションを促進する仕組みが備わっているからこそ、多くの企業や個人が集まり、共存共栄が図られています。

テクノロジーの進化や働き方、消費行動などが大きく様変わりする中、現代は従来型の製品、サービス、ビジネスモデルが通用しない時代になっています。このため、あらゆる業界で従来の常識を打ち破り、消費者の心を捉えるようなイノベーションに対するニーズが増大している一方、一部の大企業などの例外を除けば、自社単独で革新的な製品やサービスを産み出すことは難しくなっています。

エコシステムは業界や業種を超えた多様なプレーヤーが共通のプラットフォームのもとに集まることで、各社の強みを組み合わせた革新的な製品やサービスの開発を促します。また、こうした過程でエコシステム内部でも多様な取引関係が新たに生まれれば、協業を通じたビジネス機会の拡大にもつながります。

このようにエコシステムは参加者が増えれば増えるほど、ネットワークの価値が高まり、その恩恵が増大するというネットワーク効果を備えた仕組みと言えます。また、ネットワークという視点で捉えれば、前述したAppleやAWS、GCPには巨大なユーザーコミュニティが存在し、ユーザー主導でトラブルシューティングや事例やベストプラクティスなどの有用な情報の共有が盛んですが、エコシステムというのはあくまで事業者主導で価値創出につなげるネットワークという点でユーザーコミュニティとは大きく異なります。

Innovation
Innovation

ますます高まるデータの重要性

まとめると、デジタル化の進展によりあらゆる業界の垣根が崩れる中、エコシステムのように外部と協業し、新たな付加価値をする取り組みはデジタル時代には欠かせないアプローチと言えます。このほか、エコシステムを構成するメンバーの間では、売上や利益などの見返り以上にAPIなどを通じてさまざまなデータ資産にアクセスし、利活用できるというメリットも重要視されています。

AI(人工知能)やIoTの時代を迎え、ユーザーの行動や物流などのデータは企業にとって新たな収益につながる重要な無形資産として注目を集めるようになっています。このため、エコシステム内では製品やサービス、そしてそれに伴う金銭対価に加え、特定のデータを交換し、分析することで新たなサービスの創出につなげようとする動きも強まっています。例えば、A社が自社では手に入らない業務データを同じエコシステム内のB社から共有してもらうことで、自社サービスの開発に役立てる一方、A社が開発した試作品をB社で試験導入し、両社でさらなる改善を図るといったような協業形態も最近では増えています。

Analytics
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おわりに

今回はデジタル時代に欠かせない協業のあり方としてエコシステムをご紹介しました。SHIFT ASIAはお客様のソフトウェア開発やテストの課題を解決するパートナー企業としてお客様のご要望に沿った形で、さまざまなご支援や協業を積極的に進めています。具体的な弊社のソリューションや導入事例についてはトップメニューのタブメニューから詳細をご覧の上、何かございましたらいつでもお気軽にご相談いただけると幸いです。

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