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あらためてメタバースとは|重要ポイントと今後起こりうる変化をわかりやすく解説 ビジネス・ITトレンド

更新日:2024/12/06 SAブログ編集部

あらためてメタバースとは|重要ポイントと今後起こりうる変化をわかりやすく解説

1. はじめに

近年、メタバース(Metaverse)はIT業界を中心に注目を集めています。

メタバースという仮想空間で、会議や商談ができるといったビジネス面のメリットに加え、買い物や施設の見学など日常生活の効率化や時間短縮にも期待が寄せられています。

また、急速に広まったリモートワークにおける社内コミュニケーションの場として、オンラインで入り込めるメタバースを新たなオフィス空間として活用する動きも進んでいます。

そこで、今回はさまざまな可能性を秘めたメタバースについて考察してみたいと思います。

2. メタバースの定義とは

メタバース(Metaverse)とは、meta(超越)とuniverse(宇宙)を掛け合わせた造語です。

具体的には、自分自身の化身となるアバターのキャラクターを使い、他のユーザーとコミュニケーションを取る仮想空間をメタバースと呼んでいます。

米作家のニール・スティーヴンスンが1992年に発表したSF小説『スノウ・クラッシュ』という作品の中で、登場する人間がアバターに化して交流する仮想空間を「メタバース」と呼んだことがメタバースという言葉の誕生とされています。



SF小説『スノウ・クラッシュ』の英語版

3. 従来の仮想空間との違いとは

仮想空間の先駆けとして知られているのが2003年にサービスが開始されたセカンドライフ(Second Life)です。

セカンドライフではユーザーの分身となる3Dアバターを通じてユーザー同士が交流したり、仮想空間上に存在するさまざまな商品やサービス、土地などの売買を通じて収益を上げたりすることも可能だったため、2000年代半ばに一時的に注目を集めましたが、その後人気が大きく失速しました。

セカンドライフがユーザー離れを起こした理由

ユーザー離れを生んだ理由としては、セカンドライフを楽しむためには高性能のPCが必要だったり、仮想空間内で何かをするためには課金が必要な場合が多かったりとユーザー側の負担も大きかったほか、特にRPGゲームのような目的が存在しないことから実際に始めてみても「何をしたらいいのかわからない」というケースが多かったと言われています。

さらに、セカンドライフの当時の仕様ではSIMと呼ばれるひとつの空間に最大50人しか入れなかったため、ユーザーとの交流がそこまで活発にならなかったことも飽きられた理由のひとつとされています。

メタバースの実現を大きく支える新たな視覚テクノロジーの進化

しかし、セカンドライフのサービス開始から長い年月を経た現代では、新たに登場したさまざまなテクノロジーがよりリアルなメタバースの実現に向けた取り組みを後押ししています。そうしたテクノロジーの一例として挙げられるのが、VR(バーチャル・リアリティ)やAR(拡張現実)です。

例えば、VRではオーロラを360度で観るという臨場感のある体験を実現し、他のユーザーと一緒に仮想空間上でオーロラ鑑賞を楽しむという新たな体験を可能にしました。また、こうした他のユーザーとの交流はオーロラ鑑賞やスポーツ中継などの特別なイベントに限らず、近年は日常やビジネスに関連するさまざまな活動が仮想空間上で広がりを見せており、メタバースの盛り上がりを支えています。


上はYouTubeのサンプル動画ですが、360度の画角に対応したVR専用ゴーグルなどを使えば、通常の動画とは異なるより臨場感の高い空間体験を楽しむことができるでしょう。

4. ビジネス面で捉えたメタバースの概況

一方、ビジネス利用の観点から見た場合、現時点ではオーロラのような自然やeスポーツ、音楽ライブ、ファッションショーなどのイベント鑑賞、さらには商品や展示物の紹介などに活用されるケースが多いと言えます。

日本でも、三越伊勢丹や大丸松坂屋、高島屋といった百貨店をはじめとする小売業を中心にメタバースショッピングの活用事例が出てきています。

メタバースショッピングが通常のECサイトと異なる点は、消費者はアバターを通じて来場者として仮想空間上の各店舗を訪れる仕組みであることです。

消費者は具体的にはスマートフォンやPC、タブレット端末などから自身のアバターを設定し、来場者としてメタバースのショッピングモール内を自由に歩き回ることができます。これにより実店舗でウィンドウショッピングを楽しむのと同様の体験を楽しめるほか、仮想空間上の広場などで行われているさまざまな販促イベントなどにも参加できます。

また、気になる店舗に足を踏み入れた後は各店舗内でオンラインショッピングを楽しむこともできるなど、仮想空間とECを融合させたメタバースならではの購買体験を提供しています。

上記の内容も含め、ここでメタバースの特徴を整理します。

メタバースの特徴まとめ

  • 大人数での参加も可能
  • 他ユーザーとの交流や、空間・体験の共有が可能
  • ユーザーは自分の分身であるアバターを動かすことで参加
  • 仮想空間上の活動内容としては今のところ、商品の売買のほか、展示物や建築、自然風景などの閲覧が多い

5. メタバースが注目を集める背景

次に、メタバースが大きく注目されている理由を探ってみましょう。

メタバースが現在、世界的に注目を集める理由・背景は大きく3つあります。

背景1: 旧Facebookが社名を変更

一つ目の背景として挙げられるのが、FacebookやInstagramなどを運営している大手テクノロジー企業のMeta Platforms(旧Facebook)の社名変更です。同社は2021年10月にMeta Platforms、通称Meta(メタ)への社名変更を発表し、事業の軸足を従来のソーシャルメディアからメタバースの構築や関連サービスにシフトさせることを明らかにしました。

GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)あるいはGAFAM(GAFAにMicrosoftを加えた呼び名)の一角として世界的に注目を集める同社が2004年の創業時から使用してきた社名を捨ててまでメタバース市場を取りに行く姿勢を示したことは市場に大きな影響を与えました。

同社はVR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの最新テクノロジーとこれまでのソーシャルメディアの運用で培ったノウハウを組み合わせることにより、新たな交流体験を提供する場としてのメタバース構築を狙っているとされています。

MetaのCEOであるザッカーバーグ氏は社名変更時に2021年だけで約100億ドル(約1兆3,000億円)をメタバース関連事業に投資する意向を示しました。

背景2: VR・AR・XRなどのテクノロジーの発展

次に現実的なサービスとしてメタバースが注目され始めているのは、間違いなくVR・AR・XRなどの視覚・映像テクノロジーの発展がメタバースの世界観に追いついてきているからと言えるでしょう。

特に近年にますます技術の高度化が進んでいる視覚・映像の領域では、セカンドライフが登場した当時には技術的に難しかったことが次々に実現できるようになってきました。例えば、現在のVR技術では、仮想空間で自分の分身となるアバターを二次元画面上で動かすだけでなく、専用ゴーグルを装着することでより臨場感のある三次元の体験と身振りや手ぶりを交えたコミュニケーションが可能になりつつあります。

Meta Platformsが開発、提供しているVR対応ヘッドマウントディスプレイ「Meta Quest」には製品前面に複数のカメラが搭載され、装着している人の指の関節などの動きを追跡するハンドトラッキング技術が採用されています。この技術によりカメラで追跡した動きをAIでリアルタイムに分析し、手の3Dモデルを作成することができるため、ヘッドマウントディスプレイを装着した人の実際の手や指の動きをアバターの動きに即座に反映させることも可能になっています。

背景3: NFTがもたらすデジタル資産市場における革新

そしてメタバースが注目を集めている3つ目の理由がNFT (Non-fungible token)の発展です。NFT とは「代替ができない、唯一無二であることが証明されたデジタルデータ」を指し、メタバース上での取引を支える基盤としても関心が高まっています。

メタバースでは、仮想空間上でリアルな商品を売買するだけではなく、インターネット上の仮想空間に存在するイラストや写真、データなど、さまざまなデジタル商品を売買することが可能です。ただ、こうしたデジタル商品は誰でも簡単にコピーし、シェアができるため、商品としてのオリジナルの価値を担保するためにはこれまで多くの課題を抱えていました。

しかし、NFT技術の発展によりどのデジタルデータがオリジナルで、その所有者が誰であるかを証明することが可能になりました。NFTはブロックチェーン技術を活用することで、デジタルコンテンツの作成者や権利者(所有者)、取引データをトークンIDと呼ばれるIDに記録することができます。これにより例えば、デジタルアート作品であればオリジナルと複製を明確に区別することが可能になります。この結果、作成者や権利者の権利保護を含むデジタル資産の価値保全が進めば、デジタル資産の取引はますます活発化していくことが予想されます。

まとめると、NFTはメタバース上でさまざまなものを売買、流通させる上で重要になる基盤テクノロジーとして大きな期待が寄せられていると言えるでしょう。

実際、メタバースとNFTとの融合が徐々に進む中、メタバース上で、コンテンツ、土地、アイテム等を売買できるサービスも誕生しています。

6. メタバースを後押しする注目のトレンド

さて、ここまでメタバースが注目を集める背景をみてきましたが、次にメタバースを促進するトレンドについて探っていきたいと思います。

大手コンサルティング会社のアクセンチュアが2022年3月に発表したテクノロジーの最新トレンドをまとめた年次レポート『テクノロジーテクノロジービジョン 2022』は、2022年の最重要トレンドにメタバースを挙げています。同レポートの2022年版のタイトルは、ずばり「メタバースで会いましょう」(Meet Me in the Metaverse)となっており、具体的にメタバースを後押しする以下の4つの注目トレンドを紹介しています。

出典:アクセンチュア 『テクノロジーテクノロジービジョン 2022』

1) WebMe

まずWebMeとは「メタバースの中の私」といったような意味だと解釈できます。近年インターネットの世界ではメタバースや次世代インターネットと呼ばれるWeb3 (Web3.0、分散型インターネット)という新たな潮流が生まれています。そうした状況を踏まえ、アクセンチュアは同レポートで「インターネット自体の再考が求められるようになってきている」と指摘しています。

さらに、新たな技術やサービスの登場により人々のデジタル体験が大きく変化しつつある中、人々は商取引やゲームなどさまざまな目的のためこれまで予想しなかったような形で仮想世界でも活動するようになってきています。WebMeというのは、そうした仮想世界でも活動する自分自身という新たなトレンドを捉えた用語と言えるでしょう。

アクセンチュアはメタバースの利用が広がるにつれて、企業はwebやモバイルを中心とした従来型のオンライン戦略の再考を迫られるようになると指摘しています。さらに、実際に同社の調査でも企業幹部の95%が「将来のデジタルプラットフォームでは一貫した経験を提供し、異なるプラットフォームや空間において、顧客データの相互運用を実現する必要がある」と回答しています。

2) Programmable World (プログラム可能な世界)

次に注目したいのは、現実世界がプログラム可能になっていくというトレンドです。これは私たちが暮らす現実の世界に5GやAR(拡張現実)、IoTなどのさまざまなテクノロジーが組み込まれ、デジタル世界と重なり合う世界を示しています。こうした動きが加速すれば、将来的にはデジタル技術を制御(control)、カスタマイズ(customization)、自動化(automation)することで現実世界をプログラミングできるようになっていく可能性があります。

また、今後は現実世界でもパーソナライズが進めば、個人が好きなアイテムや情報などに触れる機会がより多くなっていくことは間違いありません。すると、例えばですが、メタバース上の個人の好みやサービスの利用動向が現実世界に反映されるといったようなことが起こるかもしれません。

3) 3. The Unreal(アンリアル)

3つ目は、人間そっくりのマシンや情報などが現実世界をますます埋め尽くすようになるというトレンドです。実際、現在ではAI(人工知能)を活用して生成されたデータやコンテンツを限りなく「本物」に近いものとして見せる技術などが発展しており、さまざまなデータの中に非現実なものが混在する世界が到来しようとしています。

また、そうした非現実なものというのは今後、現実世界あるいはメタバースのような仮想世界といった場所を問わず、あらゆる場所に存在するようになるでしょう。既に現実世界でもAIを活用して画像や動画を精密に加工したディープフェイクと呼ばれる偽情報や、SNS(ソーシャルメディア)上でフェイクニュースを自動的に拡散させるボットなどが問題になっています。

消費者や企業がAIを生活やビジネスに活用していく流れは今後も加速していく可能性が高いと思われますが、何が本物であり、何が偽物であるかを見極まる能力というのは、これまで以上に重要になっていくでしょう。これはメタバースの世界においても同様と言えるでしょう。

4) Computing the Impossible (不可能を可能にするコンピューティング)

最後の4つ目のトレンドが「不可能を可能にするコンピューティング」です。これは従来のコンピュータの計算処理能力の限界を打ち破る量子コンピュータなどの新たなマシンの発達により、将来的にはこれまで解決できなかった課題が解決可能にある世界を示しています。

例えば、米大手食品会社のMars(マース)は、マイクロソフトやアクセンチュアと連携し、メタバースに関連した取り組みとしてデジタルツインを活用しています。デジタルツインは現実世界から収集したデータをコンピュータ上でまるで双子のように再現し、分析や運営などを行う技術ですが、同社はこれにより廃棄物の削減や業務の効率化に加え、気候変化や災害リスクなどを織り込んだシミュレーションを強化し、原産地から消費地までの生産ルートのさらなる見える化を測るなど、生産性向上に向けた取り組みを進めているといいます。

7. メタバースの市場規模

まだまだ期待値が先行しているとも言えるメタバースですが、将来的には市場も大きく拡大すると見込まれています。

総務省の令和5年版情報通信白書によれば、世界のメタバース市場は、2022年の655.1億ドルから、2030年には9365.7億ドルまで拡大すると予測されています。
また同白書によると、日本のメタバース市場は、2022年度に1,825億円(前年度の245.3%)となる見込みで、2026年度には1兆42億円まで拡大すると予測されています。

出典:令和5年版情報通信白書(総務省)(PDF)

こうした市場の急成長を支える要因としては、リモートワークの普及やアプリ内通貨やゲーム内通貨、仮想通貨(暗号通貨)などの決算手段の多様化、さらにはVR対応ヘッドマウントディスプレイの価格下落などが挙げられます。

その一方、こうした市場の健全な発展を支えるためには企業がユーザーがメタバース上で安全に取引を完了できるシステムの構築、提供を進める必要があるでしょう。
つまり、メタバース関連のサービスを提供する企業は、より安全かつ信頼できるプラットフォームを提供する必要があると言えます。

このほか、インドのリサーチ会社フォーチュン・ビジネス・インサイト(Fortune Business Insights)はメタバース市場の成長に対してさらに大胆な見通しを示しており、2029年の世界市場の規模を約1兆5,000億ドル(約195兆2,900億円)になると試算しています。

出典:フォーチュン・ビジネス・インサイト プレスリリース
Metaverse Market Size [2022-2029] Worth USD 1527.55 Billion | Exhibiting a CAGR of 47.6%

8. メタバースに関連した事例

では、次に実際にメタバースを活用したビジネスの事例を3つご紹介します。メタバースをビジネスにどのように活用していくべきかというテーマに関してはまだまだ具体的な事例をイメージしづらいところがあるかと思いますが、少しでも参考にしていただけると幸いです。

事例1: 仮想空間会議ツール、Horizon Workrooms (Meta Platforms)

Meta PlatformsによるHorizon WorkroomsはCG(Computer Graphic: コンピューターグラフィック)で作成された仮想空間上で会議やセミナーを行うことができます。Horizon Workroomsは現在もさまざまな開発が行われているものの、代表的なメタバースの事例の一つと言えるでしょう。

ユーザーはMeta Platformsが開発、提供しているVR対応ヘッドマウントディスプレイ「Meta Quest」を使用してメタバースに入ると、まるで直接対面しているかのように通常のオンライン会議よりもリアルな形で会議に参加できます。

コロナ過においてはZoomやMicrosoft Teamsなどを活用したオンラインのビジネス会議はもはや当たり前のものとなりましたが、このようなメタバース空間での会議やセミナーは、参加者により高いレベルの臨場感と没入感をもたらすものとして注目されています。

事例2: オンラインバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」(Epic Games)

Epic Gamesが手掛けるフォートナイト(Fortnite)は、さまざまなプレイヤーが数々のゲームモードを楽しめる無料バトルロイヤルゲームです。ボイスチャット機能があるため、ユーザー同士会話をしながらゲームをすることができます。

フォートナイトは今や単なるオンラインゲームの範疇を超え、友人同士のコミュニケーションプラットフォームとしての役割を持つようになっており、メタバースとしても注目されつつあります。全世界では2020年5月時点で登録プレイヤー数が3億5000万人を突破したと発表されるほどの超巨大コミュニティに成長しつつあります。

出典:Fortnite公式Twitter

日本では2020年8月には、日本の若者を中心に人気を集めるシンガーソングライターの米津玄師がフォートナイトの仮想空間でライブイベントを開催したことでも注目を浴びました。


事例3: イベントやライブを楽しめるバーチャル空間「VARP」(PARTY)

クリエイティブ集団「PARTY」が手掛ける仮想空間上であらゆる体験ができるサービス「VARP(ヴァ―プ)」は音楽、映画などの分野で新たなエンタメ体験を実現しています。

VARPを通して、アーティストはオリジナルのバーチャル空間を創造し、iOS/Android対応アプリとして配布することが可能です。

通常のオンライン配信とは異なる点として、ユーザーはバーチャル空間を自由に動き回ることができます。そのため、日本だけではない世界中のユーザーとともに空間を移動しながら、さまざまな角度からライブやイベントを楽しむことができるのが特徴です。

事例4: バーチャル空間上で買い物ができる「H&M」

世界的ファッションブランド「H&M」は、バーチャル空間上で買い物ができるバーチャルショップを提供しています。ユーザーは、実際にその場で買い物をしているような感覚で商品を手に取り、購入することが可能です。アパレル業界ではバーチャルショップの展開が進んでおり、「H&M」以外にもNIKEやGUCCI、BEAMSなどがすでにバーチャルショップを開設しています。

事例5: 人口減や少子化の対策として「メタバース婚活」

メタバース婚活協会が提供する「メタバース婚活」は、地方の人口減少や少子化問題に対応する新しい手法として注目されています。利用者は自身のアバターを通じて相手と会話やデートを楽しむことができ、メタバース上で盛り上がればリアルデートにつなげることも可能です。また、名前や顔などの個人情報が公開されないため、セキュリティ面でも安心して利用できる仕組みとなっています。

事例6: 教育現場でも活用され始めている「Labster」

メタバースは教育現場でも活用が進んでおり、その代表例として「Labster」が挙げられます。「Labster」はメタバース上でさまざまな理科実験を実施できるプラットフォームで、高校や大学で広く利用されています。物理的な設備やコストの制約を超えて、どこからでもアクセスが可能となり、教育の機会を平等に提供することで教育格差の是正にも貢献しています。さらに、現在までに500万人以上の学生が利用しており、メタバースを活用した学びの新しい形として注目を集めています。

「Labster」だけでなく、東京大学では新入生向けオリエンテーションをメタバース上で実施するなど、教育現場でのメタバース活用が広がりをみせています。

9. メタバースに対する批判的な意見と今後の発展

ここまでメタバースに対する高い期待やその可能性についてご紹介してきました。ただ、メタバースに対してはポジティブな見方が多い一方、批判的な意見が存在することも事実です。また、今後のメタバースの発展について見解を述べたいと思います。

メタバースに対する批判的な意見

一例として世界中に多くのユーザーを持つスマホARゲーム「ポケモンGO」を開発したナイアンティック(Niantic)創業者のジョン・ハンケ氏は公式ブログで「メタバースはディストピア(暗黒世界的)な悪夢です」と述べており、安易なメタバースへの礼賛を批判しています。同氏はメタバースという用語を初めて使ったSF小説『スノウ・クラッシュ』について触れ、メタバースという言葉は本来、テクノロジーが間違った方向に進んだディストピア的な未来への警告でもあるとの見方を示しています。

出典:ナイアンティック 公式ブログ
メタバースはディストピアの悪夢です。より良い現実の構築に焦点を当てましょう。

今後の発展

メタバースが目指している究極的なゴールというのは、可能な限り現実に近い仮想空間を再現することです。現在のメタバースでは人間の五感のうち「視覚」、「聴覚」さらには一部の「触覚」しか取り込めていません。ただ、将来的な方向性として技術の進歩とともに人間の「触覚」をメタバースに織り込んでいく取り組みは進んでいくでしょう。

そして、まだ具体的なイメージは浮かびづらいかもしれませんが、その先には「味覚」や「嗅覚」さえもメタバースに取り込む世界が待っている可能性があります。

仮にそれらが可能になれば、メタバースは限りなく現実世界に近づきます。それによって現実と仮想空間の境界はますます曖昧になるでしょう。その結果、現実のような仮想空間と仮想空間のような現実が併存する新たな世界が誕生するかもしれません。

10. おわりに

今回は近年さまざまな業界から注目を浴びているメタバースについてご紹介しました。弊社SHIFT ASIAはお客様のビジネスニーズに柔軟に対応したソフトウェア開発・テストをベトナムで展開しており、CXやUXなどにも配慮した形でのソフトウェアテストおよび開発なども数多く手掛けています。また、今回の記事でご紹介したメタバースのような最新トレンドについてもキャッチアップできるよう日々、多くのエンジニアが新たな技術的知識やスキルの習得に励んでいます。

SHIFT ASIAではテストサービスにおいて生産性を徹底的に追求したオペレーション管理を行っています。具体的にはSHIFT ASIAの品質保証エンジニアがテスト設計や実行を担当することによりソフトウェアテスト品質の向上はもちろんのこと、お客様が開発に専念できる体制を構築することで、さらなる品質改善や生産性向上を実現するお手伝いをさせていただいております。

また弊社はベトナムを拠点にオフショア開発事業も展開していますので、SHIFT ASIAのソリューションや導入事例について気になる方は以下のバナーをクリックしてぜひご覧ください。

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