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サーバントリーダーシップとは|注目を集める、支援型リーダーのあり方(前編) ビジネススキル

更新日:2024/10/11 SAブログ編集部

サーバントリーダーシップとは|注目を集める、支援型リーダーのあり方(前編)

複雑かつ変化の速い現代のビジネス環境を生き抜く上で、状況に応じた適切な判断や対応ができることは、企業にとっての生命線の一つと言えるでしょう。
そのためには組織を率いるリーダー自身が優秀であることはもちろんのこと、多様なメンバーによって構成された組織の力を十二分に引き出す能力もリーダーには求められます。

むしろ、あらゆる問題がより大きく複雑になりつつある現代においては、個人の力で対応できる領域は従来よりも狭くなっています。このため、問題解決に向けてさまざまなスキルや経験を持つメンバーの力をうまく組み合わせ、新たなイノベーションや付加価値を創出することがより重要となってきているのではないでしょうか。

そうした中で近年ますます注目を集めるリーダーシップ論として「サーバントリーダーシップ」があります。
サーバントリーダーシップとはその名の通り「奉仕精神に基づくリーダーシップ」であり、多くの人がリーダーという言葉でイメージするような、「上の立場から部下に対して指示をする」「自分のために組織や部下を使う」というリーダー像とは相反する性質を持ちます。

本記事では、注目を集めるサーバントリーダーシップについて、そのあり方や誕生の背景、注目を集める理由といった概要から、従来のリーダーとの違いやメリット・デメリットなどについて、自身の経験も交えながら前編・後編の二回に分けてご紹介します。
本記事がサーバントリーダーシップの理解や実践において、少しでも役立つことができれば幸いです。

1. サーバントリーダーシップとは|注目を集める、支援型リーダーのあり方(前編)
2. サーバントリーダーシップとは|注目を集める、支援型リーダーのあり方(後編)

サーバントリーダーシップとは

サーバントリーダーシップとは、何よりも他者に対して奉仕すること・他者を支援することを第一に考えるリーダーのあり方です。
他者を最優先に考え、彼らの成長やパフォーマンスの最大化のために自分の力を使います。

上司と部下の関係で言えば、部下に対して奉仕の気持ちを持って接し、部下の持つ力を最大限に発揮させるための環境や関係性づくりを積極的に推し進める、支援型のリーダーシップと言えます。
これは上からの立場で権力を行使し、部下に指示を与える従来のリーダー像とは正反対で、縁の下の力持ちとして組織を支えるリーダー像を表していると言えます。つまり、端的に言えばトップダウン型ではなく、ボトムアップ型のリーダーになります。
サーバント(servant)とは召使いや使用人という意味を持ちますが、サーバントリーダーは、部下がリーダーのために働くのではなく、部下に奉仕するためにリーダーが存在すると考えます。

サーバントリーダーは、自ら選んだ明確なビジョンや目標を組織に示し、その実現のために組織やチーム、部下に対して献身的で積極的な奉仕をする行動型のリーダーでもあります。 そして自分自身だけでなく、周りの人々を巻き込みながら、チーム全体を奉仕する人(サーバント)に変えていくような組織運営のあり方を目指しているのが特徴です。
近年ではスクラムやアジャイル開発といったソフトウェアの開発手法にもサーバントリーダーシップが取り入れられ、ソフトウェア開発の領域においてもその普及が進んでいます。

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サーバントリーダーシップはどのようにして誕生したのか

サーバントリーダーシップは、ロバート・K・グリーンリーフによって1970年に発表されたエッセイ”The Servant as Leader”の中ではじめて提唱されました。
グリーンリーフは、当時世界最大の会社で100万人の従業員を有していたAT&Tでマネジメントの研究や開発に携わり、退職後もリーダーシップの研究や啓蒙を続けていた人物です。

サーバントリーダーシップのアイデアの元となったのは、ヘルマン・ヘッセの小説「東方巡礼」です。
この作品にはレーオという召使いが登場します。レーオはある重要な旅に召使いとして同行し、旅の一団の世話をはじめ、奉仕を通じてさまざまな支援をしていました。その後レーオが旅の一団から去るとその集団は瓦解し、旅を続けることができなくなってしまいます。
実はレーオこそがその旅を企画した協会のリーダーであり、旅をともにしていたメンバーはそのことをレーオが去った後に気がついた、という内容です。
レーオは自身がリーダーということを明らかにせず、召使いとして同行し一団を支援することで、その旅を陰なるリーダーとして導いていたのです。

このストーリーにおける「奉仕を通じて導く」というリーダーのあり方に着想を得て、ビジネスにおける新しいリーダー哲学として生み出されたのが「サーバントリーダーシップ」なのです。

サーバントリーダーシップが注目を浴びる理由

では、なぜ何十年も前に提唱されたサーバントリーダーシップが今もなお、というより以前にも増して注目を集めているのでしょうか。
こちらでは、その理由として考えられる点についてご紹介します。

1.働くことに対する価値観の変化

現代では、働き方改革に代表されるような、ダイバーシティやそれぞれの人にあった働き方が重視される傾向が強まっています。

そうした中で、日々の業務についても押し付けによって無理やりやらせるのではなく、自発性に主眼を置き、働く人がやりがいを持って主体的・能動的に業務に取り組めるようなマネジメントがより求められるようになってきています。

また仕事に対する動機付けに関しても、単に売上や利益といった数字や目標を達成するといったことよりも、会社が掲げる理念やビジョンをより重視し、その実現に向けて働くという価値観が広まりつつあるのを目にします。

こういった価値観の変化に合わせるためには、上下関係などを利用した強制力によって上から命令するのではなく、会社が目指す方向性を明らかにし、適切なビジョンや目標を作り出し、それらを組織に浸透させ、メンバーを鼓舞したり力を発揮しやすい環境を整えたり、それぞれのメンバーに主体性をもって気持ちよく働いてもらうようなマネジメントが必要です。

そういったマネジメントスタイルにサーバントリーダーシップがフィットしていることが、注目を集める一つの理由と考えられます。

2.VUCAの時代において、より大きく複雑で難しくなる問題への対処

VUCAとは「先行きが不透明で、将来を予測することが困難な状態」のことを指す造語ですが、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性が高まる時代において、そこで生じる問題も同様に複雑で、対処が難しいという性質を帯びます。

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VUCAとは:先の読めない時代に求められるもの

昨今のテクノロジーやSNSの急速な発展や伝染病のパンデミックといった現象は予想の範疇を超えており、それらに付随する新たな課題や問題も生じています。
こうした状況において、どんなに優秀で経験が豊富なリーダーであっても、自分の能力や経験だけですべての問題に対処をすることは不可能といっても良いでしょう。

問題が大きく複雑で難しいほど、その解決には一人の優秀なリーダーを中心にメンバーがサポートするという形ではなく、組織を構成するメンバー自身が各々の能力を最大限に発揮させることが必要となります。

例として、複雑な問題に対処するためのフレームワークである「スクラム」では、問題を解決するためのスキルを持つ複数のメンバーを集めてチームとします。その上で、リーダーを務めるスクラムマスターにはサーバントリーダーとして、各メンバーがパフォーマンスを発揮できるよう支援し、それぞれの成長を後押しする役割が求められています。この背景には問題が複雑であるからこそ、リーダーを中心に考えるのではなく、メンバーの集合知を結集して各々の能力をフルに発揮しなければ問題の解決は難しいという考え方があります。

このようにリーダーはメンバーが最大のパフォーマンスを上げられるように環境を整え、また成長を支援するといった役割の重要性が高まっており、それゆえにサーバントリーダーシップがより強く求められるようになってきていると考えられます。

従来のリーダーとサーバントリーダーの違い

サーバントリーダーシップにおけるリーダーのあり方についての理解を深めるために、いわゆる典型的な従来のリーダー(支配型リーダー)とサーバントリーダー(支援型・奉仕型のリーダー)との態度や行動の違いを端的にまとめたのが以下の図です。

従来のリーダー

部下からの奉仕を求める

自分を上、部下を下に置く

部下に対して権力や影響力を行使し、命令する

自分の能力を磨くことを優先する

リーダー自身が最大限の力を発揮できるように、部下やまわりを使う

失敗を罰する

サーバントリーダー

部下やまわりに奉仕する

自分を下、あるいは部下やまわりと同列に位置づける

部下の声に耳を傾け、信頼関係を築くことで協力を得る

部下やまわりの成長を優先し、自分自身もともに学ぶ

部下やまわりが最大限のパフォーマンスを発揮できるように、自分の力を使う

失敗から学ぶ

こちらの図ではサーバントリーダーについての理解を進めるために両者をやや大げさに対比させていますが、特に日本においては支配型のリーダーが多いと言われており、実際に左のようなリーダーが多数を占めているという組織も多いのではないでしょうか。また本記事をご覧になっている管理者の方で、ドキッとされた方もいるかもしれません。

ただ一概にサーバントリーダーシップが優れており、従来の支配型のリーダーシップが劣っているというわけではなく、業界や組織、従業員の性格や志向、経営のスタイルなどによって適するリーダーシップに違いがあると考えるのが自然でしょう。

しかしながら、組織における多様性やチームワークが重視され、「働き方の豊かさ」といったものが求められる現代においては、多くの人々にとってサーバントリーダーの方がいわゆる「理想のリーダー像」としてイメージする内容に近いのではないでしょうか。

従来のリーダーとサーバントリーダーに従うメンバーの行動の違い

従来のリーダーとサーバントリーダーの違いについて上で述べましたが、それぞれのリーダーに従うメンバーの行動にも以下のような違いがあると言われています。

支配的リーダーに従うメンバー行動

主に恐れや義務感で行動する

主に言われてから行動する

言われたとおりにしようとする

リーダーの機嫌をうかがう

役割や指示内容だけに集中する

リーダーに従っている感覚を持つ

リーダーをあまり信頼しない

自己中心的な姿勢を身に付けやすい

サーバントリーダーに従うメンバー行動

主にやりたい気持ちで行動する

主に言われる前に行動する

工夫できるところは工夫しようとする

やるべきことに集中する

リーダーの示すビジョンを意識する

リーダーと一緒に活動している感覚を持つ

リーダーを信頼する

周囲に役立とうとする姿勢を身に付けやすい

引用:NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会

サーバントリーダーの違いを際立たせるために少し強調的に違いを表現しているようにも見えますが、サーバントリーダーに従う場合はメンバーが主体的に行動するようになり、またメンバー自身もリーダーのように周囲に役立とう、奉仕しようという姿勢を身に着けやすいということがその特徴として挙げられています。

部下に対して「言われたことしかやらない」、「チームワークに欠ける」といった印象を持つ場合、実はマネジメントにこそその原因が潜んでいるのかもしれません。

ここまで、サーバントリーダーシップについて、そのあり方や誕生のきっかけ、現代において注目を集める理由や従来のリーダーとの違いとった概要について紹介してきました。
後編ではより具体的な内容に踏み込み、サーバントリーダーが備えるべき特性や、サーバントリーダーシップのメリットやデメリットといった、実践における課題やポイントについてご紹介しています。

宜しければ、ぜひ併せてご参照ください。
サーバントリーダーシップとは|注目を集める、支援型リーダーのあり方(後編)

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