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デイリースクラムとは|その目的や具体的なやり方、実施のポイントをご紹介 アジャイル開発

更新日:2025/02/13 SAブログ編集部

デイリースクラムとは|その目的や具体的なやり方、実施のポイントをご紹介

本記事では、スクラムにおける重要なイベントの1つである「デイリースクラム」についてご紹介します。
スクラムについては以下の連載記事で全体的にご紹介をしていますが、本記事ではデイリースクラムにフォーカスし、その概要から目的、具体的なやり方や実施におけるポイントなどについて、スクラムガイドや実際の事例などを踏まえてご紹介します。

<スクラム連載記事一覧>
1. スクラムとは|スクラムの定義や特徴、体制とチーム内の役割
2. スクラムイベントとは|スクラムにおけるスプリントと4つのイベント
3. スクラムの3つの作成物|プロダクトバックログ、スプリントバックログ、インクリメントについて

デイリースクラムとは

スクラムガイドによれば、デイリースクラムの目的は以下のように定義されています。

デイリースクラムの目的は、計画された今後の作業を調整しながら、スプリントゴールに対する進捗を検査し、必要に応じてスプリントバックログを適応させることである。

またデイリースクラムは4つのスクラムイベントのうちの1つであり、スクラムチームの開発者のためのイベントとされています。4つのスクラムイベントについては以下の記事でもご紹介していますので、ぜひ合わせて参照ください。
スクラムイベントとは|スクラムにおけるスプリントと4つのイベント

つまりデイリースクラムとは、開発者のためのスクラムイベントの1つであり、スプリントゴールを達成するために日々の作業の進捗や問題を共有し、必要に応じて作業や作業計画を調整するためのイベントと言えるでしょう。

デイリースクラムによって計画との乖離や、作業を進める上での障害といったものを少しでも早いタイミングで明らかにすることで、ゴールの達成を阻害する問題の早期解決を図りやすくなることから、スクラムの成否に大きく影響する極めて重要なスクラムイベントです。

デイリースクラムにおけるルール

デイリースクラムにおけるルールの1つとして、毎日決められた「同じ場所で」「同じ時間に」開催することが定められています。
またデイリースクラムのタイムボックス(各スクラムイベントに割り当てられた時間枠)は15分と定められており、時間の超過は厳禁です。

例えばデイリースクラムで何らかの問題が発生していることが明らかになり、その対応を検討するために15分では収まりきらない場合などには、デイリースクラムとは別の場で必要なメンバーだけを集めて話し合うようにしましょう。
その場で長々と話を始めるようなことはNGになりますので、注意が必要です。

デイリースクラムを効率的に進めるための事前準備

お伝えしたとおり、デイリースクラムのタイムボックスは15分と定められているため、時間内に終わらすためには効率的に進行する必要があります。そのため、事前に必要な準備を整えておくことで、スムーズな進行が可能になります。準備のポイントは以下のとおりです。

進捗と共有情報の整理

自分の担当タスクの進捗を確認し、他のメンバーと共有すべき情報があるかをチェックします。詳細な議論が必要なら別のミーティングを設定しましょう。

スプリントゴール達成の見込みと課題の洗い出し

現状を踏まえてスプリントゴールを達成できるかを整理し、変更点や課題を明確にしておきます。特に、新たな障害や解決済みの課題については簡潔に説明できるよう準備が必要です。

ツールの更新と欠席時の対応

プロダクトバックログやタスクの最新状況をツールに反映し、作業を細分化して進捗を把握しやすくします。欠席時は、事前にチャットツールや共有ドキュメントを活用して情報を伝えるようにしましょう。

デイリースクラムは時間が限られているため、事前準備を徹底することで、より効率的な会議を実現できます。チームの状況に合わせて準備内容を見直し、継続的に改善していくことが大切です。

デイリースクラムの具体的なやり方と、実施におけるポイント

スクラムガイドではデイリースクラムの具体的なやり方については説明されておらず、また会社やチームによってもその方法はさまざまですが、こちらでは一例として一般的とされるデイリースクラムのやり方についてご紹介します。また、デイリースクラムを実施する際の注意点などをお伝えします。

デイリースクラムの基本的な進め方

デイリースクラムは、毎朝作業を開始する前のタイミングに実施することが一般的です。(いわゆる「朝会」として、デイリースクラムを実施しているスクラムチームが多いようです)

・時間と頻度: 1日1回、15分以内で実施する

・参加者: 開発者が主体だが、スクラムマスターがファシリテートすることもある

・内容: 各メンバーが以下の3点を共有するのが一般的

  • 前回のデイリースクラム以降の進捗(昨日やったこと)
  • 次回のデイリースクラムまでの作業予定(今日やること)
  • 仕事を進めるうえでの問題点や困っていること、障害など

この3つはあくまで一例であり、チームによってカスタマイズが可能です。重要なのは、スプリントゴールの達成に向けて必要な情報を適切に共有することです。

デイリースクラムの目的と注意点

デイリースクラムの目的は、スプリントゴールの達成を支援し、問題を早期に検知することです。そのため、単なる進捗報告の場にならないように注意が必要です。

一般的には、デイリースクラムを通じて各自の状況を日々共有することでプロジェクトの透明化をはかり、各自が進捗や状況を把握できるようにした上で、必要に応じて計画の修正や作業方法の改善などを行います。

なおこの際に、デイリースクラムが単なる進捗報告の場にならないように注意することが重要です。なぜならば、デイリースクラムの目的はあくまでも「スプリントゴールの達成」にあり、進捗報告そのものにはないからです。

進捗報告に終わらせないための工夫

デイリースクラムは、スプリントゴールを達成するために障害となりそうなものを素早く検知し対応するためのイベントです。もしチームにおいてこの認識が薄い場合は単なる進捗報告に終始し、進捗における課題や重要な問題が見過ごされるようになれば、後々大きな問題に発展しかねないリスクを抱えたままスプリントが進んでいってしまうことになります。

そもそも進捗の遅れや、本当に困っていること、重大な問題という事柄は開発者の立場からは発言しにくいものであることから、その実態はどうしても隠されがちです。

しかしながら、そこにこそ目標達成を阻害する可能性のあるリスクが潜んでおり、それこそがデイリースクラムで明らかにされるべきものであることから、参加者は些細なことであっても気になることや不安なこと、心配なこと、言いにくいことでも積極的に発言して共有していくことが強く求められます。

スクラムマスターの役割

そのために、スクラムマスターは粘り強くデイリースクラムの目的をチームで共有しその浸透を図りながら、同時に心理的安全性の担保や言いたいこと・言うべきことを発言しやすくするための空気づくりがとても重要です。

その一環として、ときにはスクラムマスターがデイリースクラムをファシリテートして開発者に質問を投げかけていくことも有効です。

例えば、デイリースクラムの目的の理解がチーム全体に浸透するまでは冒頭でその目的を繰り返し説明するというのも良いでしょう。

有意義なデイリースクラムにするための質問例

また開発者の「昨日やったこと」「今日やること」「問題点・困りごと」に関する発言に対して、以下のような質問を投げかけることで、議論の質を高めることができます。

  • 順調に進んでいるか?
  • 今日のゴールは何か?
  • どのように作業を進める予定か?
  • 作業を進める上で困っていることはないか?
  • 些細なことでも良いので、心配なことはないか?

デイリースクラムがただの進捗報告会になりがちという場合には、これらの方法も試してみてはいかがでしょうか。

導入事例

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さいごに

スクラムは軽量なフレームワークであり、その概要を理解すること自体は容易であっても、実践することは難しい手法と言われています。
スクラムガイドにおいてもスクラムにおいて守らなければならないルールや重要とする考え方については説明されているものの、「では具体的にどうすればよいのか?」という問いに対してはスクラムチーム自身で考え、自分たちなりの答えを見つけていくほかありません。

本記事でご紹介したデイリースクラムのやり方はあくまでも一例に過ぎないことから、1つの情報として参考にしつつも、チームごとに最適なやり方を模索し実践し、改善していくことが肝要です。
自身のスクラムチームにとって「最適なデイリースクラムとはどうあるべきか」を常に問いかけながら日々学び改善を繰り返すことが、スクラムにおいて真に重要なことと言えるでしょう。

SHIFT ASIAについて

私たちSHIFT ASIAは、ソフトウェア品質保証・第三者検証のリーディングカンパニーである株式会社SHIFT(プライム市場上場)の海外戦略拠点として、ベトナム・ホーチミンにてソフトウェアテスト事業を手掛けながら、近年はソフトウェア開発にも事業領域を拡大させてきました。長年に渡り培ってきた品質保証のナレッジとハイレベルなエンジニアの技術力を背景とした、高品質かつスピーディな開発をその特長としています。

アジャイル開発やスクラムにも力を入れており、関連する資格取得も積極的に進めています。
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