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2026年に注目されそうな10のITトレンドとは ビジネス・ITトレンド

更新日:2025/12/30 SAブログ編集部

2026年に注目されそうな10のITトレンドとは

2026年に向けて、企業のテクノロジ投資は新しい技術を試すという段階から、AIを前提にした競争力の再構築へと明確に移っています。ガートナーは、AIはあると便利なツールではなく、企業の競争力を左右する必須のテクノロジになったとし、ディスラプションがさらに加速する見通しを示しています。

こうしたなかで、ガートナーが2025年10月に発表した「2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」は、単なる先進テクノロジのリストではありません。変化や障害に強いIT基盤を築き、高度な判断機能を持つシステムを統合・連携させ、企業価値を守るための戦略ツールとして、今後5年間の方向性を形づくる10のテクノロジトレンドを提示しています。

そこで本記事では、2026年に大きな発展や注目が見込まれそうな最新のITトレンドをご紹介するため、ガートナーの発表をもとに、2026年のテクノロジ動向について解説します。

2026年のITトレンドを読み解く3つのテーマ

ガートナーが示す「2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」は、個別技術を独立して捉えるのではなく、相互に関連するものとして捉えることを前提に整理されています。AIを原動力とするハイパーコネクテッドな環境では、単一の技術を導入するだけでは成果やリスク低減に直結しにくく、基盤とアプリケーションとセキュリティを同時に整える必要がある、という問題意識が背景にあります。
この考え方を分かりやすくするために、ガートナーは10のトレンドを次の3テーマに整理しています。

2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド

Gartner, 2025年12月30日更新, “2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド” より

The Architect(アーキテクト)

AIとDXを支える「安全でスケーラブルな基盤」に焦点を当てるテーマです。AI活用が本格化するほど、計算資源やデータの取り扱い、開発生産性、ガバナンスといった要素がボトルネックになりやすく、まず土台の設計が問われます。
このテーマには、以下のトレンドが含まれます。

  • AIネイティブ開発プラットフォーム
  • AIスーパーコンピューティング・プラットフォーム
  • コンフィデンシャル・コンピューティング

The Synthesist(シンセシスト)

特化型モデルやエージェント、フィジカル/デジタルシステムを組み合わせて価値を生み出すことに主眼を置くテーマです。単体のAI導入ではなく、複数要素を統合・連携させて業務プロセスや意思決定を前進させる“オーケストレーション”が中心課題になります。
このテーマには、以下のトレンドが含まれます。

  • マルチエージェント・システム
  • ドメイン特化言語モデル
  • フィジカルAI

The Vanguard(ヴァンガード)

セキュリティ、信頼、ガバナンスを中心に据え、企業の評判やコンプライアンス、ステークホルダーの信頼を守るためのテーマです。AI活用の拡大とともに、攻撃面の拡大やサプライチェーン上のリスク、規制・地政学リスクへの対応がより重要になります。
このテーマには、以下のトレンドが含まれます。

  • 先制的サイバーセキュリティ
  • デジタル属性
  • AIセキュリティ・プラットフォーム
  • ジオパトリエーション

引用:Gartner, 2025年12月30日更新, “2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド”

2026年に重要となる10の技術トレンド

続いては、ガートナーによる2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドについて、ガートナーのリリースと記事を参考としながら一つずつみていきましょう。

AIネイティブ開発プラットフォーム

AIネイティブ開発プラットフォームは、生成AIの活用を前提に、ソフトウェアをより迅速かつ容易に創出できる開発プラットフォームとして位置付けられています。ビジネス部門に組み込まれたエンジニアが領域専門家と連携し、人とAIが小さな単位で協働しながらアプリケーションを作る姿が想定されています。

またガートナーは、セキュリティとガバナンスを十分に整えたうえで、非テクノロジ領域の専門家がソフトウェア構築に関与できる体制にも言及しています。2030年までに、80%の組織が大規模なソフトウェア・エンジニアリング・チームを、AIで増強されたより小規模で敏捷なチームへ転換させる、という見通しも示されています。

AIスーパーコンピューティング・プラットフォーム

AIスーパーコンピューティング・プラットフォームは、CPU/GPU/AI ASIC/ニューロモルフィックなど、性格の異なる計算方式をまとめて扱えるようにすることで、データ量の大きい処理を支える基盤だと説明されています。

ガートナーによると、2028年までに、主要企業の40%以上が重要なビジネス・ワークフローにハイブリッド型コンピューティング・パラダイムのアーキテクチャを採用する、という見通しが示されています。

マルチエージェント・システム

マルチエージェント・システム(MAS)は、複雑な目標の達成に向けて、複数のAIエージェントが相互にやり取りしながら動く仕組みとして定義されています。エージェント群は、単一のAIサービス提供者の範囲で提供される場合もあれば、クロスプラットフォームで独立に開発・展開される場合もある、と説明されています。

ガートナーは、複雑なビジネス・プロセスの自動化、チームのスキル向上、人間とAIエージェントの新しい連携のあり方を実現する実用的な方法として述べ、モジュール型の専門エージェントを組み合わせることで効率向上・リスク軽減につながる可能性を示しています。

ドメイン特化言語モデル

ドメイン特化言語モデルは、一般的な大規模言語モデル(LLM)では対応しきれない専門タスクがあることを前提に、特定の業界・機能・プロセスに特化したデータでトレーニング/ファインチューニングされたモデルとして整理されています。これにより、正確性の向上やコスト削減、コンプライアンス強化を通じて、AIに求められるビジネス価値のギャップを埋めると説明されています。

ガートナーによると、2028年までに企業が使用する生成AIモデルの過半数がドメイン特化型になる見通しが示されています。

フィジカルAI

フィジカルAIは、ロボットやドローン、スマート・デバイスなどが現実環境を検知・理解・行動する能力を強化し、現実世界にインテリジェンスをもたらすものとして説明されています。自動化や適応性、安全性が重視される業界で、明確な成果につながりうるとされています。

一方で、導入が広がるほど、IT・オペレーション・エンジニアリングを橋渡しできる新しいスキルが必要になる点も指摘されています。この変化はスキルアップや協働の機会を生む一方、雇用面の懸念も生みうるため、慎重なチェンジ・マネジメントが求められる可能性がある、と述べられています。

先制的サイバーセキュリティ

先制的サイバーセキュリティは、AIで強化されたセキュリティ運用を活用し、攻撃される前に脅威を阻止・妨害したり、攻撃者を欺いたりすることで「先制的に防御する」考え方として説明されています。

ガートナーは、2030年までに先制的ソリューションがセキュリティ支出全体の半分を占めるようになる見通しを示し、受け身の防御からプロアクティブな防御への転換を促しています。

デジタル属性

デジタル属性は、サードパーティ製ソフトウェアやオープンソース、AI生成コンテンツの利用が増えるほど重要になる領域です。ガートナーは、ソフトウェアやデータ、メディア、プロセスについて、それらがどこで作られ、誰が所有し、改ざんされていないかを確認できる状態を指す、と説明しています。
この考え方を実現する手段として、ソフトウェア部品表(SBOM)、認証データベース、デジタル・ウォーターマークなどが挙げられています。これらは、サプライチェーン全体でデジタル資産を検証・追跡するための新しいツールになり得る、とされています。

ガートナーによると、2029年までにデジタル属性への適切な投資を怠った組織は、数十億ドル規模の制裁リスクにさらされる可能性がある、という見通しも示されています。

ジオパトリエーション

ジオパトリエーションは、企業が保有するデータやアプリケーションを、グローバルなパブリッククラウドから、ソブリンクラウドや地域のクラウド、自社データセンターなど、目的に合った場所へ移すことと説明されています。背景として、地政学的リスクの高まりにより、国・地域ごとのルールが変化しやすくなっている点が挙げられています。
また、ソブリンクラウドが従来の金融や政府だけでなく、幅広い組織にも影響し始めていることにも触れられており、プロバイダーを移行することで、データ保存場所やコンプライアンス、ガバナンスをより厳格に管理しやすくなり、規制への整合や顧客との信頼構築にもつながり得る、と述べています。

ガートナーによると、2030年までに欧州と中東の企業の75%以上がジオパトリエーションを採用し、地政学リスク軽減を念頭に設計されたソリューションへ仮想ワークロードを移行する、という見通しも示されています。

AIセキュリティ・プラットフォーム

AIセキュリティ・プラットフォームは、サードパーティ製およびカスタム構築のAIアプリケーションを保護するために、保護の仕組みを統合し、運用の一元化を実現します。具体的には、可視化や利用ポリシーの適用に加え、プロンプト・インジェクション、データ漏洩、不正なエージェント動作など、AI特有のリスクへの対処をまとめて扱えるようにする、と説明されています。

ガートナーによると、2028年までに企業の50%以上が、AI投資を保護するためにAIセキュリティ・プラットフォームを使用するようになる、という見通しも示されています。

コンフィデンシャル・コンピューティング

コンフィデンシャル・コンピューティングは、機密データの取り扱いを見直すうえで重要な技術として挙げられています。ハードウェアベースの信頼できる実行環境(TEE)内にワークロードを隔離することで、インフラストラクチャのオーナーやクラウド・プロバイダー、さらにはハードウェアに物理的にアクセスできる立場の人が存在する場合でも、コンテンツやワークロードの機密性を保持できると説明されています。
また、この特性は、規制産業、地政学的リスク/コンプライアンス・リスクに直面するグローバル組織、そして競合間の連携において、特に価値が高いとされています。

ガートナーによると、2029年までに「信頼されていないインフラ」で処理されるオペレーションの75%以上が、データ使用中の段階でもコンフィデンシャル・コンピューティングにより保護されるようになる、という見通しが示されています。

出典:Gartner, プレスリリース, 2025年10月29日, “Gartner、2026年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドを発表”

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