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CX:カスタマーエクスペリエンスとは ビジネス・ITトレンド

Mar 10, 2022 SAブログ編集部

CX:カスタマーエクスペリエンスとは

はじめに

今や大半のビジネスの現場でCX、すなわちカスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)という言葉を耳にすることは当たり前になりました。CX(カスタマーエクスペリエンス、以下CX)は顧客から選ばれる製品やサービスを開発するためには欠かせない視点であり、顧客に対して品質や価格とは異なる付加価値を訴求する上で重要性を増しています。

そこで今回はCXがどうしてビジネスにとって重要なのかを理解するため、あらためてその意味や価値などをまとめてみました。

CXの定義

CXはカスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)の略語になりますが、カタカナ表記のほかに「顧客体験」や「顧客体験価値」という名称も使われています。意味としては文字通り、顧客が製品やサービスを購入、利用する過程を通じて体験できる総合的な価値や満足度を表したコンセプトです。また、CXは単に製品やサービスの購買体験にとどまらず、購入前や購入後を含むあらゆるタッチポイント(顧客接点)で顧客満足度を向上させようとする取り組みでもあります。

CXはもともとはマーケティングの領域で広がった用語と言われていますが、現在ではテクノロジーの進化に伴い、消費者やユーザーのニーズが多様化かつ高度化する中、ビジネス上の差別化ポイントとしてCXの重要性が注目されています。

大手IT調査会社のガートナーはCXを次のように定義しています。

Customer Experience

Gartner defines customer experience as the customer’s perceptions and related feelings caused by the one-off and cumulative effect of interactions with a supplier’s employees, systems, channels or products.

抄訳:カスタマーエクスペリエンスとは、事業者の従業員やシステム、接点、製品に一度または何度も触れる中で形成された顧客の認識と、それに付随した感情である。

出典:Gartner Glossary

ここでガートナーが指摘しているのはCXには感情的な価値が含まれるということです。つまり、CXとは製品やサービスを所有・利用することで得られる実利的な価値に加え、それに伴う満足感や喜び、感動などもすべて一括りにした価値と捉えることができます。

感情的な価値とは

では、次に感情的な価値とは何かを理解するため、著書『経験価値マネジメント』(ダイヤモンド社)で経験価値マーケティングを提唱したコロンビア・ビジネススクール教授のバーンド・H・シュミット教授による以下の5つの分類をご紹介します。

SENSE(感覚的価値)

SENSEは顧客の五感を通じた経験から得られた価値を指します。飲食店を例に挙げれば「店内の音楽が心地よい」、「雰囲気がよい」、「よい匂いがする」などの感情のほか、料理の見た目が「きれい」で、味も「おいしい」などの感覚的な評価が該当します。

FEEL(情緒的価値)

FEELは製品やサービスの利用や接客などを通じ、顧客が感じた感情を指します。例えば小売店で「丁寧な応対を受けた」とか、「販売員の知識が豊富で信頼できると思った」などの感情が該当します。

THINK(創造的・認知的価値)

THINKは顧客の創造性や知的好奇心をくすぐるような経験を通じて得られた価値を意味します。わかりやすい一例として学習体験が挙げられます。例えば、MBAスクールで学ぶことで「自分の知識や財務会計スキルなどを高められる」、「より高度なビジネス知識を身に付け、将来のキャリアアップに役に立つ」などの価値を得ることなどが該当します。

ACT(行動的価値)

ACTは製品やサービスを利用することで生じる行動変容に起因した価値を指します。例えば、スポーツやアウトドアなどがわかりやすい例と言えます。アウトドア未経験の顧客が店舗でキャンプ道具一式を購入すれば、キャンプという新たな体験価値へのアクセスを手に入れることができます。そして、道具をそろえることがキャンプに出掛けるという行動変容を促し、結果的に顧客のライフスタイルに新たな価値をもたらします。

RELATE(関係的価値)

RELATEは製品やサービスとの関係性から得られる価値を意味します。これは顧客の帰属意識に訴求する感覚を指すことが多く、各種の会員制度やコミュニティ活動などが該当します。一例として野球やサッカーなどのプロスポーツの特定チームを応援し、チームの勝利を自分ごとのように喜ぶファンもRELATEに紐づいた価値を得ていると言えるでしょう。

今なぜ感情的価値の訴求が重要なのか

繰り返しになりますが、CXは製品やサービスを通じて得られる実利的な価値と、それに付随した感情的価値を合算した体験価値を表します。

現代はさまざまなモノやサービスが市場にあふれている一方、機能や品質などが似通ったモノも少なくありません。このため似たような製品・サービスであれば、消費者はより価格の低いモノを選ぶ可能性があります。ただ、消費者の選択基準が価格に限定されてしまうと、低価格競争に巻き込まれやすくなることに加え、いわゆる「コモディティ化」と呼ばれる状況に陥りやすく、市場でその製品やサービスの付加価値を訴求することが難しくなってしまいます。

こうした状況を防ぎ、しっかりと製品・サービスの差別化を推進する上では機能や品質だけでは測れない付加価値を訴求していくことが欠かせません。こうした付加価値の代表例としてブランドがあります。例えば、AppleのスマートフォンiPhoneシリーズのような強いブランドを持つことの強みは計り知れません。

とはいえ、iPhoneのような強力なブランドイメージは一朝一夕に築けるものではありません。このため、個々の製品・サービスにおける顧客体験の改善を目指すCXの取り組みが脚光を浴びていると言えます。特にCXにおいて感情的価値が重要視されている背景には、機能や品質、ましては価格以外で製品・サービスの魅力を示し、競合製品・サービスとの差別化を図ることができるからと言えます。

ソフトウェアテストの現場から見たCXの現状

次に、もう少し具体的な話としてソフトウェア開発におけるCXをめぐる現状について探っていきたいと思います。

開発したソフトウェアが想定した仕様通りに動作するかをリリース前にチェックする重要な工程としてソフトウェアテストがあります。SHIFT ASIAもベトナムでソフトウェアテストサービスを提供していますが、通常、テスト担当者はあらゆる観点からテストを実施し、改修が必要な可能性のある項目を検出して開発者に報告します。ただ、限られた納期や予算の中、実際はあらかじめ仕様として定められている項目のみを改修し、リリースするケースが少なくありません。

つまり、ソフトウェアテストで検出されたあらゆる項目のうち、絶対に改修が必要でない項目は意図的に見逃されていることが多く、こうした項目の中に実はCXにつながる要素が潜んでいると言えます。

テストで見逃された項目の8割が感情的価値に関連

SHIFT ASIAの親会社であるSHIFTが過去の開発プロジェクトにおいて開発側の判断で“見逃された”項目を分析したところ、改修に至らなかった項目が全検出項目の29%を占めたことが分かりました(図1)。

さらに、これらをカテゴリ別に分類分けしたところ、77%がユーザーにとっての“使い勝手”や“使い心地”といった感情的価値に関連することが確認できました(表1)。

出典:株式会社SHIFT:CX改善の最短ルートを提案する、マーケティング支援サービス「CXデザイン」を提供開始

図1:過去開発プロジェクトにおいて検出した項目の分析(SHIFT)

表1:”見逃された”項目から得られるデータの一例(SHIFT)

例えば、上記の図1にある「エラー復旧性」や「一貫性」は「ウェブサイトがより親切かつ使いやすく設計されている」というFEELを訴求する要素になり得ます。このようにソフトウェアテストの工程だけを見ても、日本でCX改善に向けた取り組みが遅れている状況が読み取れます。

事実、ガートナーが2020年11月に日本企業を対象に実施した調査によると、CXの取り組み状況について「必要だが未検討/進捗が遅い」(31.3%)、「必要なし」(18.1%)、「知らない/分からない」(29.2%)と回答した企業が全体の約8割に上り、日本企業が消極的な対応にとどまっている現状が示されています。

出典:ガートナー、日本企業のカスタマー・エクスペリエンスへの取り組みに関する調査結果を発表

UXとの違いとは

なお、CXに似た用語としてUX、ユーザーエクスペリエンス(User Experience、以下UX)があります。それぞれ主語が顧客、ユーザーという違いはあるものの、どちらも製品・サービスを通じて得られる体験を指す言葉です。

ただ、UXに関しては通常、製品・サービスの利用に重きを置いた意味で使われるため、CXよりも狭義の概念として解釈されることが一般的です。前述のとおり、CXは機能や品質、価格、そしてそれらに付随した感情すべてを含みますが、UXについてはあくまで一時的な利用体験から生まれる体験や感情を指します。つまり、CXとUXの関係性を語る場合、個々のUXの改善を積み重ねることで、より優れたCXを実現できるということが言えます。

その意味では前述のソフトウェアで見逃された項目というのは、あくまでユーザー視点での体験に基づいた観点であることから、CX改善につながる”個々のUX上の課題”として捉えた方がより適切と言えるでしょう。

さらに品質の観点で言えば、UXを高めることは狩野モデルが示す「一元的品質」(あると嬉しいものの、ないと不満につながる品質要素)に寄与する取り組みです。狩野モデルについてご興味のある方は以下の過去記事をご覧ください。

おわりに

今回は近年さまざまなビジネスでも注目を集めるCXについてご紹介しました。弊社SHIFT ASIAはお客様のビジネスニーズに柔軟に対応したソフトウェア開発・テストをベトナムで展開しており、CXやUXなどにも配慮した形でのソフトウェアテストおよび開発なども数多く手掛けていますので、何かお困りの場合には是非お気軽にご相談ください。

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