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EC(eコマース)サイトのテストとは?必要性やテストの種類などについて解説 ソフトウェアテスト・品質保証

更新日:2025/03/06 SAブログ編集部

EC(eコマース)サイトのテストとは?必要性やテストの種類などについて解説

はじめに

オンラインで商品を購入することが当たり前になった今日、AmazonなどのEC(eコマース)サイトを利用したことのある方も多いのではないでしょうか。経済産業省が発表した「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」によると、日本国内の消費者向けECの市場規模は24.8兆円に達しており、その規模の大きさがうかがえます。また近年では、個人向けのECプラットフォームサービスも展開されており、同報告書によると個人間ECの市場規模は2兆4817億円にのぼります。今後もこの分野はさらに拡大し、ECサイトの利便性は一層高まっていくことでしょう。

ECサイトの利用者が増えるにつれ、弊社 SHIFT ASIA にはECサイトの品質向上に関するお問い合わせが多く寄せられています。そこで今回は、弊社がこれまで取り組んできたECの品質向上の取組を基に、「ECサイトにおけるテストとは何か?」についてお伝えします。

ECサイトのテストとは

ECサイトのテストは、サイトの機能や特性、セキュリティ面を評価し、パフォーマンスやユーザーエクスペリエンスに影響を与える可能性のあるエラーや問題を特定・改善することを目的としています。ECサイトが24時間365日安定して稼働し、バグの発生を防ぎつつ、ユーザーが快適に購入できる環境を整えるために欠かせないプロセスです。

また、ECサイト事業者にとって、高品質なサイトを提供することは、オンラインでの存在感を高め、ユーザーの信頼を獲得することにつながります。その結果、ユーザーフレンドリーなショッピング体験が実現し、スムーズな購買につながるでしょう。

ECサイトにおけるテストの必要性

ECサイトにテストが必要な理由は、サイトの品質を維持し、安全で快適なショッピング環境を提供するためです。具体的には、以下の点が挙げられます。

  • バグの特定:機能の不具合を発見し、スムーズな操作性を確保することで、最適なユーザー体験を提供します。
  • セキュリティの確保:クレジットカード情報などの機密情報を保護し、脆弱性を防ぐことで、安全な取引環境を実現します。
  • 機能の適切な動作確認:商品フィルタリング、割引オファー、カスタマーサポート用チャットボットなど、サイトの主要機能が正常に動作するかを検証します。
  • 互換性の確保:異なるウェブブラウザやデバイス(PC、スマートフォン、タブレット)でも問題なく動作するようにチェックします。
  • コンプライアンスの遵守:業界基準や規制に準拠し、顧客にとって安心できるショッピング環境を提供します。

ECサイトにおいて、これらを徹底することで、信頼性と利便性を確保し、ユーザーに快適な購買体験を提供することが可能となります。

ECサイトのテストの種類

では、ECサイトのテストには、どのような種類があるのでしょうか?ECサイトにおける主なテストの種類についてご紹介します。

  • 機能テスト

ECサイトの基本機能が正しく動作するかを確認するテストです。リリース前に、実装した機能が正常に機能するかを検証し、ユーザーが快適に利用できるようにします。具体的には、ログインやユーザー登録(パスワードリセットを含む)の正常な動作、商品検索・フィルター機能の適切な動作、カートへの追加・削除の正確性、購入手続きにおける決済や配送情報の入力、クーポン適用・ポイント利用の可否をチェックします。ユーザーがストレスなくECサイトを利用できる環境を整えることができます。

  • ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストは、ユーザーにECサイトを実際に使用してもらい、使いやすさを評価し、課題を発見するためのテストです。優れたECサイトであっても、設計が不適切だとユーザーが離れてしまうため、スムーズに利用できるかを確認することが重要です。具体的には、レスポンシブデザインの動作、ボタンやリンクの視認性・操作性、フォームの入力しやすさ、サイト全体のナビゲーションの分かりやすさなどを検証し、ユーザーが快適に利用できる環境を整えます。

  • パフォーマンステスト(性能テスト)

パフォーマンステスト(性能テスト)は、ECサイトの処理速度や負荷耐性、データ処理能力などの性能要件を満たしているかを確認するテストです。特に、セールやプロモーション時にアクセスが集中しても、サイトが正常に動作し、スムーズに処理できることが重要です。具体的には、トラフィックの処理能力や応答時間、スケーラビリティを評価し、負荷テスト(大量のユーザーが同時にアクセスした際の動作確認)、ストレステスト(極端な負荷がかかった場合の耐久性検証)、応答速度の測定(サイトの反応速度の確認)を実施します。これらのテストを通じて、サイトの安定性を確保し、快適なユーザー体験を提供できるようにします。

  • セキュリティテスト

セキュリティテストは、ECサイトがサイバー攻撃や不正アクセスから適切に保護されているかを検証するテストです。ユーザーの個人情報や決済データを守るために不可欠であり、ECサイトの安全性を確保する基盤となります。具体的には、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)の脆弱性チェック、不正アクセス防止対策の確認、セキュアな決済処理の検証などを行い、サイバー攻撃のリスクを最小限に抑えます。

  • 互換性テスト

互換性テストは、ECサイトが異なる環境でも正常に動作するかを検証するテストです。ブラウザ(Chrome、Firefox、Safari、Edgeなど)、デバイス(PC、スマートフォン、タブレット)、OS(Windows、macOS、iOS、Android)ごとの互換性を確認し、どの環境でも快適に利用できるようにします。

テストケースとは?

ご紹介してきたテストを実行する前の準備として、「テストケース」の作成が必要になります。テストケースとは、ソフトウェアやシステムが期待通りに動作するかを確認するために、手順や使用するデータ、条件、実行パターン、期待される結果などを文書化したものです。テストケースは、テストチーム、開発チーム、管理者が活用し、テストの基準となる重要なドキュメントとなります。主に以下の項目がテストケースに含まれる必要があります。

  • テスト対象:テストで確認すべき対象を明確にする
  • テスト観点:テストの目的や目標を要約し、何を確認するのかを定義する
  • テスト条件:テストを実行する前に満たしておくべき前提条件や既存の要件
  • テスト手順:テスト実施時に行う具体的な操作やアクションの手順
  • 期待値:テストが成功した際に得られるべき結果を明確にし、評価基準とする

参照:SHIFT テストケースとは?書き方や満たすべき要件について解説

テストケースの作成において役立つ技法として「同値分割法」と「境界値分析」があります。詳細について知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

適切なテストケース作成に役立つ技法を知る1:同値分割法とは?

適切なテストケース作成に役立つ技法を知る2: 境界値分析とは?

ECサイトのテストケース

ECサイトにおけるテストケースは、具体的にどういったものなのでしょうか。こちらでは、ECサイトのテストケースについて詳しく説明します。

  • ユーザーログイン・登録

ユーザーがスムーズに登録・ログインできることを確認し、ログイン失敗時の適切なエラーメッセージ表示も検証します。

  • 商品検索

ユーザーがキーワード検索やカテゴリ検索を利用して、目的の商品を迅速に見つけられるかを確認します。

  • 決済ゲートウェイ

PayPal、Stripe、Apple Payなどの決済手段が適切に機能し、安全な取引が行えることを確認します。

  • クーポン・割引コード

クーポンコードやプロモーションが正しく適用され、割引が適切に反映されることを検証します。

  • カート追加機能

商品の追加・削除、数量変更などの操作が問題なく行えるかをテストし、ユーザーの操作性を確保します。

  • チェックアウトプロセス

注文確定までの流れがスムーズに進み、入力した顧客情報や配送先情報が正しく処理されることを確認します。

  • 配送・配達オプション

配送料や配送予定時間、追跡番号の表示が正確であるか、配送オプションの選択が適切に動作するかを検証します。

  • カスタマーサービスチャットボット

チャットボットがユーザーの問い合わせに適切に対応し、満足度向上につながるかを確認します。

  • レスポンシブ・互換性

PC、iOS、Androidなどの異なるデバイスやブラウザで、レイアウトや機能が適切に表示・動作するかを確認します。

  • データセキュリティとプライバシー

パスワードやクレジットカード情報の暗号化、データ漏洩防止対策が適切に実施されているかを確認します。

  • パフォーマンス

大量のユーザーアクセスや取引が発生しても、サイトが遅延やクラッシュなく稼働するかを負荷テストやストレステストで検証します。

  • エラーハンドリング

無効な操作(無効なプロモーションコードの入力や在庫切れ商品の注文など)に対して、適切なエラーメッセージが表示されるかを確認します。

おわりに

本記事では、ECサイトにおけるテストの必要性や種類などについてお伝えしました。ECサイトの品質を維持し、ユーザーに快適なショッピング体験を提供するためには、適切なテストの実施が不可欠です。機能テスト、ユーザビリティテスト、パフォーマンステスト、セキュリティテスト、互換性テストなどといった多様なテストを組み合わせることで、サイトの信頼性を高め、売上向上にもつなげることができるでしょう。

また、適切なテストケースの作成を通じて、検証すべきポイントを明確にし、効率的なテスト運用を行うことも重要です。特にECサイトでは、決済や個人情報の取り扱いが含まれるため、セキュリティ面でのチェックを徹底することで、ユーザーの信頼を確保できます。

弊社 SHIFT ASIA では、ECサイトの品質向上に関する豊富な知見と経験を活かし、最適なテストソリューションを提供しております。ECサイトの品質向上に課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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