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ソフトウェアテスト資格「JSTQB認定テスト技術者資格」とは|Foundation Levelを中心に概要からメリット、勉強方法をご紹介 ソフトウェアテスト・品質保証

更新日:2024/02/19 SAブログ編集部

ソフトウェアテスト資格「JSTQB認定テスト技術者資格」とは|Foundation Levelを中心に概要からメリット、勉強方法をご紹介

ソフトウェアテストの資格には、「JSTQB認定テスト技術者資格」や「IT検証技術者認定試験(IVEC)」、「基本情報技術者試験」、「ソフトウェア品質技術者資格( JCSQE)」などさまざまなテストエンジニア向けの資格があります。

こちらの記事では、その中でも海外でも有効なソフトウェアテスト技術者資格である「JSTQB認定テスト技術者資格」を取り上げ、その概要から取得のメリット、受験方法、そして特に受験者の多いFoundation Levelの試験内容や勉強方法について、筆者自身がFoundation Levelの資格を取得した経験も踏まえてご紹介します。

弊社SHIFT ASIAのプロジェクトマネージャーが、ISTQBのFoundation Levelを取得した体験記事もございます。宜しければ合わせてご参照ください。
TOCKYが1ヶ月間勉強してISTQBに受かった話(wantedly記事)

JSTQB認定テスト技術者資格とは

JSTQB認定テスト技術者資格とは、日本におけるソフトウェアテスト技術者資格認定の運営組織であるJSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)により認定される、ソフトウェアテスト技術者資格です。

JSTQBとはソフトウェアテストに関する国際的な資格認証を行うISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の加盟組織であり、資格および教育・訓練組織認証についてISTQBと相互認証を行っていることから、JSTQB認定テスト技術者資格は日本だけでなく海外でも有効な資格となっています。
参照:JSTQB公式ホームページ
参照:ISTQB公式ホームページ

なおISTQBは世界130ヵ国でJSTQBと同様の相互認証を展開しており、これまでに130万回の試験を実施し91万4千人以上の資格取得者数を誇る、世界最大規模のソフトウェアテスト資格認定組織です。(2023年6月時点)

「JSTQB認定テスト技術者資格」と「ISTQB認定テスト技術者資格」の違い

JSTQB認定資格とISTQB認定資格との大きな違いとして、以下の2つが挙げられます。

1.運営組織による受験方法や言語の違い

JSTQBはシラバスから問題まで全て日本語であり、受験場所も日本国内である一方で、ISTQBは全て英語で海外でも受験が可能となっています。

ちなみに、筆者はベトナム在住のためJSTQBではなくISTQBを受験・取得しました。
またSHIFT ASIAの同僚複数名と一緒に受験をしたため、弊社オフィスにISTQBの試験官が直接訪れ、オフィス内の一番広いスペースを会場として使用する形で受験しました。(これは例外で、一般的には指定された会場で受験するようです)
JSTQBでも基本的には指定の会場で受験する形になるようですが、詳しくは運営実施パートナーである一般財団法人日本科学技術連盟のホームページをご参照ください。
参照:一般財団法人日本科学技術連盟 資格試験-JSTQB認定テスト技術者資格

なおJSTQBのシラバスや試験内容はISTQBの内容をもとに翻訳され作成されていることから、日本語と英語で言語は異なるものの、それらの内容は同質と考えて問題ないでしょう。

2.受験可能な試験種類の違い

JSTQBではFoundation Level(FL)という基礎に該当するレベルと、Advanced Level (AL)という上位レベルの試験を受験可能です。
またAdvanced Levelでは「テストマネージャ」と「テストアナリスト」の2種類の試験を受験することができ、Foundation LevelとAdvanced Level2種の計3種類の試験を受けることが可能です。

一方ISTQBでは、JSTQBで受験可能な上記の試験のほか、「Technical Test Analyst」や「Agile Technical Tester」といったAdvanced Levelの試験のほか、特定のテストに特化したSpecialist向けの試験や、更にハイレベルな「Expert Level」の試験を受験可能です。
近年ますます注目度・重要度が高まっているアジャイルテストの資格や、AIやセキュリティといった特定のテスト領域に特化した資格、そして最高レベルのExpert Levelの資格を取得したいという方は、ISTQBを受験する必要があります。

ISTQBの資格試験一覧
拡大画像はこちら

JSTQB の合格難易度について

上記でご紹介した通り、JSTQBにはFoundation LevelとAdvanced Levelの2種類のレベルが存在していますが、両者の間には大きな難易度の差があります。
それぞれの直近5回の試験結果によると、平均すると以下のような合格率となっています。

Foundation Level
受験者数:6,164名
合格者数:3,685名
合格率:59.8%

Advanced Level(テストマネージャ)
受験者数:1,751名
合格者数:356名
合格率:20.3%

Advanced Level(テストアナリスト)
受験者数:1,920名
合格者数:488名
合格率:25.4%

参照:JSTQB認定テスト技術者資格試験実施データ

Foundation Levelでは過半数の60%近くの合格率がある一方で、Advanced Levelはいずれも20%~25%程度と3倍近くの開きがあることから、その難易度の差は非常に大きいことが見て取れます。

なおFoundation Levelは、その名の通りソフトウェアテストの基礎的な内容が幅広く網羅されており、主にソフトウェアテストにおける基本的な用語や概念を対象に記憶・理解・適用することが目的とされていることから、ある程度の実務経験がある場合はシラバスをしっかり読み込めば早い人で10時間程度、長くとも30時間程度の学習時間があれば十分合格できるレベルかと思います。

一方Advanced LevelはFoundation Levelの合格のほか、「3年間以上の業務経験」が受験の前提条件であり、また試験でもそれぞれの分野に特化した高度な内容が問われることから、この2つのレベルは全く異なるレベルと言えるでしょう。
なおSHIFT ASIAでもISTQBのAdvanced Levelに合格したメンバーが何名かいますが、平均して概ね40~60時間程度を試験勉強に充てたそうです。
Advanced Levelの難易度や必要な学習時間のご参考となれば幸いです。

JSTQBの資格を取得するメリット

JSTQBの資格を取得するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

1.ソフトウェアテストの知識を体系的に学ぶことができる

仕事でソフトウェアテストに関わる方であっても、ソフトウェアテストについて大学などで体系的に学ばれた方というのはそう多くはないでしょう。
既にソフトウェアテストの実務経験を積んでいる方や書籍などを通じて勉強をされている方であっても、独学の場合はどうしてもある程度知識が偏ってしまいがちです。
自分の専門分野である程度の経験があり、また実務で経験した範囲では非常に詳しい知識があったとしても、その分野で基本的とされていることを知らないことにある時気づいた、という経験は多くの方がお持ちではないでしょうか。

JSTQBは、ソフトウェアテストの専門家が、テスト技術者がその知識や技術を向上させるために体系的に設計した資格であり、その内容は変化の速いソフトウェアを取り巻く環境に合わせて更新され続けています。
このように体系的に設計された資格を通じ、網羅的かつ、テスト技術者として必要とされる一定のレベルの知識を学ぶことで、知識の抜け漏れを防ぐことができるというのが大きなメリットの一つと言えるでしょう。

また学習を通じ、実務レベルでは深く意味を知らず何となく使っていた単語や概念についても、その明確な定義や周辺的な知識を知ることでより理解を深めることができるというメリットもあります。

2.ソフトウェアテストに関わる意思疎通がしやすくなる

ソフトウェアテストにはさまざまな用語や概念が存在しますが、実は同じ言葉を使っていても人によって微妙に違う認識をしていた、という経験は誰しもがあるのではないでしょうか。

例えば初歩的なところですが、「エラー」「欠陥」「故障」という用語はよく混同されがちですが、これらは以下のように明確に異なることを表しています。

エラー:いわゆる誤り、間違い、ミス
欠陥:いわゆるバグ、不具合。エラーによって生じる成果物における欠陥
故障:一般的に使われる故障とほぼ同じで、期待どおりではない動作や結果

エラーが原因となって欠陥が生じ、欠陥によって故障する、ということですね。
JSTQBのシラバスには学習の目的が記載されているのですが、そのうちの一つに「エラー、欠陥、故障を区別する。」という目的があり、シラバスの中でも「1.2.3 エラー、欠陥、および故障」というパートで詳しく解説されています。

こちらはあくまでも一例ですが、このようにソフトウェアテスト業界における一般的かつ基本的な知識を学ぶことで共通の認識を持つことができ、意思の疎通がよりスムーズになることはメリットの一つに挙げられるでしょう。
特にクライアントやパートナーといった外部の組織の方と一緒に働いたりコミュニケーションを取ったりする際には、こういった知識が有るとないとでは大きな差があるように私自身も実感することがあります。

3.ソフトウェアテストスキルの客観的な証明になる

これはJSTQBに限らず資格全般に言えることではありますが、仕事においてスキルを客観的に証明できるものがあると転職などの際に役立つのはもちろんのこと、ソフトウェアテストプロジェクトのアサインにおける基準になることもあるため、活躍の場がさらに広がることも期待できます。

特にAdvanced Level以上の資格を取得されている場合は、それだけでソフトウェアテストにおけるハイレベルな知識や経験を有していることの一つの証明になると言えるでしょう。

実際に弊社SHIFT ASIAでも、エンジニアが持つスキルをお客様に対して客観的に証明することや、より高い品質のサービスを提供することを目的に、ISTQBをはじめとする資格取得を奨励しています。
その結果として、2020年にはISTQBのPlatinumパートナーにも認定され、その後も続々とISTQB資格保有者が増加しています。

SHIFT ASIA、ISTQB®のPlatinum Partner(プラチナパートナー)に認定

社員17名がISTQB認定アジャイルテスター資格を取得しました

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JSTQBの資格試験を受験するには

JSTQBの資格試験は、基本的に各試験ごとに指定された開催日・開催場所において試験が実施されます。
Foundation Levelでは約半年に一回ペースで毎年2月中旬・8月下旬に実施されており、Advanced Levelについては不定期に実施されているとのことです。
最新の試験実施要項はJSTQBのホームページのJSTQB認定テスト技術者資格試験実施要領にて案内されますので、受験を検討される方はチェックしてみてください。

なお各試験には申込受付期間が設定されており、試験日の2~3か月前には締め切られてしまいますので、早めの検討と申し込みが必要です。
試験料はFoundation LevelもAdvanced Levelも同額で、22,000円(税込)となります。
詳しくは、JSTQB認定テスト技術者資格試験の運営実施パートナーである一般財団法人日本科学技術連盟の以下のページをご確認ください。
参照:JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level 試験
参照:JSTQB認定テスト技術者資格 Advanced Level 試験

Foundation Levelの概要

こちらでは、私自身も受験し、比較的多くの方が受験を検討されると思われるFoundation Levelの概要や試験内容、勉強方法についてご紹介をします。

Foundation Levelとは、そもそもどういった学習の目的と知識レベルを想定しているのでしょうか。
これは明確にシラバスに以下のように記載がされています。(一部を抜粋)

0.3 試験対象の学習の目的と知識レベル
受験志願者は本シラバスの 6 つの章で説明されているキーワードと概念について認識し、記憶し、想起することになる。
本シラバスでは各章の先頭で以下の分類にて「学習の目的」を示している。
• K1:記憶
• K2:理解
• K3:適用
各章の章見出しの下にキーワードとしてリストアップされているすべての用語の定義は、「学習の目的」には明示的に述べられていないとしても「記憶」しておくべき(K1)レベルとなる。

つまり、以下の6つの章におけるキーワードと概念を認識し、それぞれを必要とされるレベル(K1~K3)に応じて記憶・理解・適用することが目的となっています。
少なくともシラバスに載っているキーワードや概念を一通り記憶した上で、一部のものに対してはより深く理解し、適用できるようになることが求められるということです。

0.7 本シラバスの構成
• 第 1 章:テストの基礎 – 学習時間 175 分
• 第 2 章:ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通してのテスト – 学習時間 100 分
• 第 3 章:静的テスト – 学習時間 135 分
• 第 4 章:テスト技法 – 学習時間 330 分
• 第 5 章:テストマネジメント – 学習時間 225 分
• 第 6 章:テスト支援ツール – 学習時間 40 分

各章ではこのようにソフトウェアテストの基礎を中心に、その周辺知識やテストの技法、管理に関わる知識を学ぶことになります。
各章に記載されている学習時間はISTQBが定めた目安の所要時間で、合計すると16.5時間となります。学習の計画を立てる上で、一つの参考としてみてはいかがでしょうか。
参照:テスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス Version 2018V3.1.J03

Foundation Levelの試験形式

Foundation Levelの試験は、問題に対して複数の選択肢から正解を選ぶ形式です。
後ほど勉強方法についてもご紹介しますが、JSTQBにより公開されているサンプル問題を見ることである程度のイメージをつかむことができます。

また試験時間は60分で、問題数は40問です。
合格ラインはISTQBに従うことから、65%となります。
参照:ISTQB Exam Structures and Rules(ダウンロード資料内)

40問のうち65%ということで、26問に正解すれば合格ラインです。
出題範囲はシラバスに準拠すると明言されていますが、シラバスはバージョンアップされることもありますので、最新の実施要項を必ず確認するようにしましょう。
参照:JSTQB認定テスト技術者資格試験実施要領

Foundation Levelの勉強方法

Foundation Levelはその名の通りソフトウェアテストの基礎的な知識が問われる試験のため、特別な勉強方法は必要ないと感じていますが、自身の経験も踏まえておすすめの勉強方法をご参考までに紹介いたします。

1.シラバスを徹底的に何度も繰り返し読み込む

身も蓋もない方法ですが、これが最も基本かつ重要な勉強方法かと思います。
以下のページから、必ず出題対象となる最新のシラバスをダウンロードし、しっかり読み込むようにしましょう。
参照:シラバス(学習事項)・用語集

トータルで80ページを超えるボリュームですが、私の場合は紙ベースで読んだり自由に書き込んだりできる方が学習しやすいと感じたため、縮小かつ両面印刷でコンパクトに製本していつも持ち歩けるようにしていました。
またオーソドックスに、基本的には一通りの内容を理解できるまでシラバスを繰り返し読み返しつつ、特に各章の冒頭でリストアップされているキーワードについては自分の言葉でその意味を説明できるまで該当箇所をチェックしました。

大半の方は単に資格を取得することだけでなく、実務上での活用も目的として受験されるかと思いますので、丸暗記するのではなくしっかりと自身の言葉で語れる状態まで理解を深められると、活きた知識として身に付きやすくなると思います。

2. 市販の公式テキストを活用する

私自身は使用しませんでしたが、参考書として市販のテキストを使用していた者も周囲に数名いました。JSTQBではソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundationという公認書籍がありますので、より学習を深めたい方は参考書としての利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

3. サンプルの問題や模擬試験を解く

こちらも非常にスタンダードな方法ですが、Foundation Levelでは公式・非公式問わず様々なサンプル問題があります。
問題の雰囲気をつかんだり、自分が理解できていない箇所を洗い出したりする上でも、シラバスの読み込みと合わせて活用することで、より効果的な学習につながると思います。
以下は一例になりますが、参考までにご紹介します。

JSTQB Foundation Levelサンプル問題
現時点で公開されているサンプル問題としては最新ですが、バージョンが2011と古いため、あくまでも問題の形式や雰囲気をつかむという目的で解いてみるのが良いと思います。

ISTQB Foundation Levelの公式サンプル問題集
こちらはISTQBなので英語ですが、かなりの種類の問題・回答がセットで公開されています。(私自身も模擬試験としてこちらを中心に使用しました)
内容が非常に充実していますので、シラバスを読み込んだ上でこちらを一通り解き進め、間違えた箇所を復習することで十分合格ラインへの到達が可能と思います。

JSTQBテスト技術者 Foundation 模擬試験
こちらは個人の方が運営されているもので非公式なようですが、最新のシラバスに準拠したJSTQBの模擬試験を無料で受験できるようです。
他にもこのような模擬試験ができるサイトやアプリがいろいろとあるようですので、試してみるのも良いかもしれません。

ただどのような方法で勉強をするにしても、やはり基本はシラバスになりますので、そこはおろそかにせず何度も繰り返し理解できるまで読み込むことが最も重要です。

さいごに

私自身はソフトウェアテストの実務をバリバリ行うテストエンジニアというよりは、管理側でテストプロジェクトに関わることが多いのですが、それでもクライアントやテストエンジニアの方々とコミュニケーションを取る上でFoundation Levelの知識が役立っていると実感する場面が多々あります。

特にソフトウェアテストの戦略や計画の立案や、進捗や結果のレポーティングをする上で、資格取得前と比べてテストに関する基礎的な知識が身についたおかげで一定以上の品質のアウトプットが出せるようになったように感じます。
取得にかかる学習時間や費用もそこまで大きくないことから、テストエンジニアの方はもちろん、何らかの形でソフトウェアの開発や品質保証に関わる方であれば、得られる知識に対して労力・費用ともにコストパフォーマンスの高いおすすめの資格かと思います。

ソフトウェアテストにご興味のある方は、この機会にFoundation Levelの資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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