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日本の品質教育をベトナムに展開~ヒンシツ大学によるテスト設計(機能テスト)講習~
会社名 | Aureole Information Technology Inc.(AIT) |
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事業内容 | ソフトウェア開発およびソフトウェアテストサービスの提供 |
企業規模 | 92名(2024年9月末現在) |
導入事例サービス |
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本記事では、SHIFTの教育専門機関「ヒンシツ大学」が初めて日本国外でベトナム語による講習を実施した、ベトナムオフショア開発企業AIT社への品質教育講習事例をご紹介します。ベトナムでは近年、品質に対する意識が高まっており、従来はオフショア開発に対して低品質のイメージを持たれることがありましたが、その認識も徐々に変化してきています。こうした背景を踏まえ、「ヒンシツ大学」では品質教育の取り組みをベトナムに展開し、現地のニーズに応える活動を開始しました。
本講習では、「機能テスト」におけるテスト設計書の作成方法に焦点を当て、SHIFT独自の品質保証ノウハウをベトナム語で提供しました。具体的な講習内容や受講者の声を交えながら、その実施内容を詳しくお伝えします。品質教育に課題を抱える企業にとって、有益な情報となれば幸いです。
ヒンシツ大学とは
はじめに「ヒンシツ大学」とは、株式会社SHIFTが運営する教育専門機関です。システム開発では、上流工程の遅延が原因で、下流工程であるソフトウェアテストに十分な時間や人材を割けないことがよくあります。これにより、ソフトウェアの品質が低下するリスクが高まります。「ヒンシツ大学」では、こうした問題を解決するため、短時間・少人数でも品質を担保できるテストスキルやマネジメントスキルを持つ人材の育成を支援しています。
「ヒンシツ大学」の特徴として、ソフトウェアテスト業界に精通している著名人が監修したテキストを用いて、経験豊富なSHIFTの講師陣の下で、ソフトウェアテストの基礎から応用まで幅広い講座を受講することができます。これまでは日本国内で日本語のみの講座が中心でしたが、今後は海外で英語やその他の言語にも対応する予定です。「ヒンシツ大学」の詳細を知りたい方はこちら。
ヒンシツ大学のメニュー
「ヒンシツ大学」が提供するメニューはおもに3つあります。AIT社には「企業研修」メニューを提供しました。
- オープン講座:会場参加型の「体験講座」とオンラインで受講可能な「オンラインライブ講座」があります。体験講座では、SHIFTのセミナールームで講師と直接コミュニケーションを取りながら受講でき、他の受講生とのディスカッションを通じてソフトウェアテストの知識を深めることができます。また、講座概要、対象者、受講料、開催日程などの情報も確認できます。遠方にお住まいの方や自宅から参加したい方には、オンラインライブ講座が最適です。
- 企業研修:法人向けのプログラムで、目的に応じて講座内容をカスタマイズできます。自社の会議室やオンラインで受講可能です。
- e-learning:オンライン学習プラットフォームUdemyを活用し、受講生の都合に合わせて日時や場所を問わずに講座を受講できます。
AIT社が「ヒンシツ大学」を選んだ理由
今回講習を実施したAIT社は、ソフトウェア開発・ソフトウェアテストサービスをベトナムで展開しているオフショア開発企業です。ソフトウェアテストスキルを向上させたいという思いから「ヒンシツ大学」に問い合わせをいただきました。ベトナムのオフショア開発企業は他国と比較して品質に対する意識が高い傾向にありますが、ときには品質について指摘を受けることがあり、品質向上が重要な課題となっています。
テスト設計を教える会社が数多くあるなかで、「ヒンシツ大学」を選んだ理由としては、ベトナム語のテキストやベトナム人講師による講習が可能であり、なおかつベトナム現地で実施してもらえる点が大きなポイントでした。講習費用を抑えつつ、参加者が講習内容をより理解しやすくなるというメリットがあります。また、一般的な知識だけでなく、SHIFT独自のノウハウやスキルセットを学べる点も評価いただきました。
AIT社に実施した講習の内容
当日はAIT社に対し、以下の内容を中心に講習を実施しました。また、受講者の理解を深めるため、理解度確認テストを取り入れました。講習後の質疑応答では予定時間を超えるほど積極的な質問が寄せられ、熱心に講習に参加いただきました。
項目 | 詳細 |
確認項目一覧の作成 | 講習では、テスト対象の場所や機能、観点、テスト内容、期待される結果が記載される確認項目一覧の作成方法について丁寧に解説しました。単に内容を一方的に伝えるだけでなく、参加者が実践的に理解できるよう、具体的な事例を提示しながら進めました。また、講習中に受講者自身が確認項目一覧を実際に作成する時間を設けることで、学んだ内容を即座に活用できる実践的な体験を提供しました。 |
パターン表の作成 | 複数の手順やテストパターンを組み合わせた実行パターン表の作成方法について詳細に解説しました。この実行パターン表は、誰がソフトウェアテストを実施しても一定の品質を保てるように設計し、抜け漏れを防ぐために重要な表です。特に抜け漏れを防ぐためのポイントやコツをお伝えしました。 |
テスト設計書のチェック | 不備が見つかった場合には、修正を行うことで品質を適切な水準に保つために、確認項目一覧と実行パターン表のチェックが重要であることをお伝えしました。 |
受講生の声
本講座を受講したAIT社の方々から以下のようなフィードバックをいただきました。多くの受講生が講習内容に高い満足度を示しており、「講習を受けて終わり」ではなく業務に活かしていきたいという声もいただくことができました。
- 講師の説明やテキスト内容はとても分かりやすかったです。
- 満足できる講習でした。(参加者のうち88%が講習に満足していると回答)
- ベトナム語で意思疎通が図れたため、ストレスなく講座を受講することができました。
- 体系的なテスト設計スキルを学べたことは、とても良い機会になりました。
- 今回の講習で学んだことを実際に活用していきたいです。
まとめ
今回はSHIFTの教育専門機関「ヒンシツ大学」が初めて日本国外でベトナム語による講習を実施した、AIT社への品質教育講習事例を紹介しました。テスト設計の基礎からテスト設計書の具体的な作成方法をお伝えし、AIT社の品質向上に寄与することができ、高い評価をいただくことができました。
「ヒンシツ大学」では、日本語やベトナム語に加えて英語でも受講できるよう準備を進めています。「ヒンシツ大学」に興味のある方はこちらより詳細を確認できますのでご確認ください。
Appendix テスト設計とは
Appendixとしてテスト設計についてご紹介します。まず、テストプロセスについてお伝えします。テストプロセスとは、テストを進める順序のことで、7つの要素で構成されています。
- テスト計画:テストの目的やアプローチなどを定義し、テスト計画書として文書化する
- テストのモニタリングとコントロール:テスト計画書に基づいた計画と実際の進捗状況を比較する
- テスト分析:テストベースやリスクに基づき、テスト対象機能の「何を」テストするかを決定。
- テスト設計:テスト技法を用いて、テスト対象機能を「どのように」テストするかを設計。
- テスト実装:テスト設計をもとに、具体的な手順やデータを作成。
- テスト実行:定めた手順でテストを行い、結果を判定し報告。
- テスト完了:成果物や環境を再テスト可能な状態で保管し、得られた教訓を知見として蓄積。
参照:JSTQB テスト技術者資格制度Foundation Level シラバス
テストプロセスのうちのひとつが「テスト設計」になります。テスト設計とは、テスト計画に基づき、具体的にどのようにテストを実施するのかを詳細に決めるプロセスです。テスト対象や手法、手順を体系的に整理し、効率的かつ効果的なテストを可能にします。
テスト設計において使用する書類が「テスト設計書」です。テスト設計書は、「確認項目一覧表」と「実行パターン表」の2つの主要な構成要素から成り立ち、テストの範囲や方法を明確化する役割を果たします。
- 確認項目一覧表:テスト対象を「機能」という単位で分解し、その正しい動作を確認するために必要な項目を洗い出します。この際、テスト対象の場所、機能、観点、テスト内容、期待される結果などを明確に表記します。また、テスト対象となる項目を整理し、漏れなく網羅的に洗い出すことで、どのようなテストを行うべきかを具体的に定義します。
- 実行パターン表:確認項目一覧で記載された項目のうち、期待値が「前提条件」「入力値」「操作」など複数条件の組み合わせによって変化する場合、これらの条件や値を因子・水準として設定し、それに対応する期待値の組み合わせを示します。また、テスト対象となる項目を漏れなく整理し、網羅的に洗い出します。
「ヒンシツ大学」の取組をはじめSHIFT ASIAは品質保証のプロフェッショナルとして、ベトナムを拠点にソフトウェアテスト事業を展開しています。弊社の具体的なサービスや導入事例について知りたい方はお気軽にご連絡をいただけると幸いです。
会社名: Aureole Information Technology Inc.(AIT)
事業内容: ソフトウェア開発およびソフトウェアテストサービスの提供
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