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BIMソフト「Revit」のアドイン開発で手間のかかる設計業務を自動化し、作業効率を大幅に向上
建設業界において慢性的な人手不足と業務の複雑化が進む中、多くの企業がBIM(Building Information Modeling)ソフトウェアを用いた設計への移行を進めています。
しかし、大手建築設計会社のお客様社内ではBIMソフトを効果的に活用できておらず、設計業務に大きな負担が生じていました。
こうした課題に対して、当社ではAutodesk社のBIMソフト「Revit(レビット)」の機能を拡張するアドイン開発を提供。アジャイル開発による柔軟な体制で、モデリングの効率化や各種チェックの自動化機能などを実装しました。
これにより、熟練設計者の負担を大幅に軽減し、少人数でも高品質かつスピーディーな設計が可能となる環境を実現しました。
お客様の課題
建設業界全体が直面している慢性的な人手不足と工期短縮の圧力は、クライアントである建築設計会社様にとっても喫緊の課題でした。
多くの企業が設計情報の統合管理が可能なBIMを用いた設計への移行を進める中で、お客様社内では以下の問題が生産性を低下させるボトルネックとなっていました。
・Revit操作の複雑さ
高機能なBIMソフトであるRevitは、その機能の多さゆえに操作が複雑で、高い習熟度が求められます。結果として、専門知識を持つ熟練設計者に業務が集中し、組織全体の生産性が上がらない問題が発生していました。
・設計変更と図面修正にかかる膨大な工数
構造設計におけるラチス作成、基礎の配筋、胴縁のモデリングなど、パターン化できる作業に手作業が介在し、非常に多くの時間を奪われていました。
設計変更のたびにこれらの複雑な要素を修正する必要があり、設計業務が煩雑化していました。
・品質管理の難易度上昇
少人数のチームで大量の図面作成・修正を行う必要があるため、ヒューマンエラーのリスクを抱えながらの作業となっていました。
手作業による入力ミスやパラメータ設定の漏れなどが発生しやすく、品質チェックの標準化と自動化が強く求められていました。
お客様の要件
お客様が求めていたのは、Revitの導入効果を最大限に引き出し、「少ない設計者でより高い成果を出す」ための根本的なソリューションでした。
具体的には、以下の要件を満たすRevitアドインの開発を要望されました。
・操作難易度の低減
Revitの基本操作や複雑なファミリ編集に関する専門知識がない設計者でも、容易に、かつ短時間で複雑なモデリング作業を完結できるインターフェースの実現。
・作図スピードの向上
工数削減のため、ラチス構造、基礎、胴縁などの構造モデリング作業の完全自動化・簡易化。特に、中間階梁レベルのオフセット調整などの繰り返し作業を自動処理できること。
・設計品質の担保
モデルの整合性や、構造チェック(ファミリ名、パラメータ不足、鋼材情報、干渉など)をシステム側で自動検知・検証できる機能の実装。
SHIFT ASIAの対応と成果
当社は、お客様の現場が直面する課題を深く理解したうえで対応するため、要件定義から実装、テストまでを一貫して担当する開発体制を構築しました。
設計現場の細かなニーズをタイムリーに反映させるため、柔軟性の高いアジャイル開発を採用し、モデリングの効率化と品質管理の自動化を実現しました。
1. モデリング・図面機能の大幅強化
設計者の手作業を徹底的に減らすため、以下の専用アドイン機能を開発・実装しました。
・ラチス作成の簡易化
非常に手間の掛かるファミリ編集が必要だったラチス構造のモデリングを自動化。パラメータ入力だけで複雑な形状を生成可能とし、複雑な構造作成時間を大幅に短縮しました。
・基礎作成・配筋の自動化
基礎モデリングの効率化に加え、配筋までも自動化。さらに、3Dモデルから基礎断面図を自動生成する機能を実装し、作図時間を大幅に短縮し、手作業によるミスも根絶しました。
・胴縁作成のBIM化
これまでCADで補足的に行っていた胴縁の作図を、Revit上で効率的に行えるよう開発。設計情報がすべてBIMに集約され、作業の削減に貢献しました。
・中間階梁レベルの自動調整
設計変更時に頻発する梁のレベル設定やオフセット作業を自動化。手作業による計算ミスや入力ミスが減少し、変更対応のスピードが向上しました。
2. 自動モデルチェック機能による品質向上
モデルチェックの自動化により、品質を担保する機能を実装しました。
・構造・干渉チェックの自動化
ファミリ名の規則性や必須パラメータの入力不足を自動で検知。さらに、鋼材情報の整合性や部材間の干渉チェック機能も実装し、設計図書の致命的なエラーを初期段階で自動的に検出・修正可能としました。
Revitへの本アドインの導入により、複雑な構造部材のモデリングが容易に実行可能となり、お客様の設計業務に劇的な変革をもたらしました。
まず、煩雑な繰り返し作業がシステムに置き換わったことで、設計者の工数が大幅に削減され、生産性が飛躍的に向上しました。この成果は、お客様の直面する人手不足への有効な対策となっています。
また、アドインがRevit操作の複雑さを吸収することで、経験年数に関わらず、誰でも均質な品質のモデル作成が可能になり、設計業務の脱属人化にも貢献しました。
さらに、構造チェック機能が、設計図書の致命的なエラーを初期段階で自動的に検知・修正するため、手戻りや手直しコストを最小限に抑えることができ、品質の安定と向上に貢献しています。
当社は、今後もお客様のDX推進パートナーとして、BIM設計環境のさらなる進化と、建設業界の生産性向上に貢献してまいります。
使用ツール・技術・言語など
- Revit(レビット)(Autodesk社が開発・提供するBIMソフト)
ソリューションサマリ
- BIM開発
- アジャイル開発
- ソフトウェアテスト/第三者検証
お問い合わせContact
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